まず、現地でのスポーツ観戦が過去1年間に1日もなかった群(65.5%)に比較して、2日以上観戦していた群(21.7%)は、中等度の心理的ストレスを抱えるリスクが17%低く(リスク比〔RR〕0.83〔95%信頼区間0.72~0.95〕)、重度の心理的ストレスの該当者も有意に少なかった(オッズ比0.43〔同0.23~0.79〕)。

 また、現地での観戦頻度が高いほど心理的ストレスを抱えるリスクが低下するという関連が認められた(傾向性P値が中等度ストレスについては0.011、重度ストレスは0.016)。同様に、現地で観戦した人は脂質異常症のリスクが低く(1年間に2日以上観戦でRR0.89〔0.79~1.00〕、傾向性P=0.049)、さらに生活習慣の改善に前向きであった(行動変容ステージが前熟考期であることのRRが0.77〔0.64~0.93〕、傾向性P=0.005)。

メディアでの観戦には
肥満や生活習慣病のリスクが潜んでいる

 次に、メディアでの観戦が過去1カ月間に1日もなかった群(41.6%)に比較して、週に1日以上観戦していた群(27.8%)は、身体活動不足であることが少なく(RR0.94〔0.88~1.00〕、傾向性P=0.038)、朝食欠食が少なく(RR0.85〔0.75~0.96〕、傾向性P=0.008)、幸福感が高かった(RR1.08〔1.00~1.17〕、傾向性P=0.048)。

 ただし、メディアでの観戦は、BMIの上昇(β=0.03〔0.00~0.05〕、傾向性P=0.025)のほか、高血圧(RR1.09〔1.01~1.19〕、傾向性P=0.026)や糖尿病(RR1.16〔1.02~1.31〕、傾向性P=0.018)のリスク上昇と関連していた。

 著者らは本研究を「スポーツ観戦の頻度と健康状態などとの関連を、大規模かつ縦断的に解析した初めての研究」と位置づけ、「現地観戦でもメディアでの観戦でも、スポーツを見ることでメンタルヘルスや生活習慣が良好になる可能性が示された。一方で、メディアでの観戦には肥満や生活習慣病のリスクが潜んでいることも示唆された」と総括している。

 なお、メディア観戦がいくつかのアウトカムに負の影響を及ぼし得る点については、「座ったままで飲食をしながら観戦するという、いわゆる“カウチポテト”になりやすいことの影響も考えられる」と考察している。(HealthDay News 2024年12月16日)

Abstract/Full Text

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091743524003098

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