一方、もう半分の人(私も含めて)は、私の殺人が未遂に終わり、私たちが殺人未遂の調査を行ったことで、クレムリンはこの件と距離を取りたがるのではないかと考える。誰も私を殺そうとなどしていないとクレムリンは繰り返し訴える。もし彼らがまた私に毒を盛り、私がノビチョクや心臓発作で死ぬことになろうものなら、言い訳がつかなくなるだろう。なんだか自分をごまかしているような気もするが、いずれにせよ、将来のことは誰もわからないし、そのわからない未来を予測しようとしても意味がない。
「国の未来のために闘うお父さん」
息子の言葉が自らの誇りに
唯一、確かなことがある。それは私が地球上で最も幸せな1%の人たち(つまり、自分の仕事を愛し、誇りを持っている人たち)の一人であるということだ。私は仕事をしているとき、その一秒一秒が楽しい。私には心から応援してくれる人たちがいる。それに、愛だけでなく、同じ価値観も持つ女性と出会うことができた。彼女も私のように、現状に反対している。私たちの国はもっと良くなるはずだ。ロシアの人たちは今よりも20倍は豊かに暮らせるはずだ。決して私やユリアが豊かになれるといっているわけではない。
私たちはこの国を何とかしたいと思っているのだ。少なくとも実際に何とかしようとしている。これは、間違いなくやるだけの価値がある。私たちにはやり遂げられないかもしれない。すべてが変わるのは、私たちがいなくなったあとかもしれない。それでも私たちはやらなければならない。子供や孫には、自分の両親は良い人だった、何かプラスになることを生み出そうとして生きていたのだと知ってもらいたい。
ザハールが小学生の頃、親が何をしているのかを発表する授業があった。「私のお父さんは医者です」「僕のお母さんは先生です」と答える友だちもいたが、ザハールはこう話した。「僕のお父さんは、僕たちの国の未来のために、悪い人たちと闘っています」。この話を聞いたときが、人生で一番すばらしい瞬間になった。首にメダルをかけてもらった気分だ。