頑張っているのに、結果がついてこない」「必死に仕事をしても締め切りに間に合わない」同僚は次々と仕事を片付け、成果を出し、上司にも信頼されているのに、「なんでこんなに差がつくんだ……」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?
ビジネススキルを発信するTikTokのフォロワーが19万人を超え『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった「超優秀な人が秘かにしている仕事のコツ」を本記事で紹介します。

【最初の一言でわかる】コンサルの採用面接を通過できる人と、落とされる人の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

まずは言葉を定義する

前職のコンサルティング会社では新卒採用のためのグループディスカッション(以下、GD)がよく行われていました。

GDでは学生の皆さんに「お題」を出し、討議の様子を評価して、面接の通過可否を判断します。

ここで実際にあった例をお話ししたいと思います。

とある日のGDは「日本の笑いを世界に広めるためにはどうしたらいいか?」というお題で1時間話し合い、1つの結論を出してもらうものでした。

学生は何とか面接を通過したいと思っているので、さまざまな行動でアピール合戦が行われます。司会進行役を買ってでたり、斬新なアイデアをだしたり、他者の論理の穴を突いたりなどです。

あなたが面接官であれば、どのような学生を採用したくなりますか?

実はこのGDを進めるにあたって、何よりも重要な採用基準があります。

それは、お題で使われている「言葉の定義」をしたか、していないかです。

今回のお題は「日本の笑いを世界に広めるためにはどうしたらいいか?」です。

「それでは、どうしたらいいでしょうか?」といきなり解決策を議論しはじめた時点で、ほとんどの場合、失格の烙印を押されてしまいます。

誰かとなにかを議論するときに、議論が平行線にならないようにするためには「言葉を定義すること」が大前提です。

  • 「日本の笑い」とは何か?
  • 「世界」とはどこまでか?
  • 「広められている状態」とは何か?

このような観点を忘れて議論をはじめると、ある人は「日本の笑い」とは「お笑い芸人の漫才」だと考えるかもしれませんし、別の人は「伝統的な落語」のことだと考えるかもしれません。

同様に、「全世界」に広めたいと考える人もいれば、「アジア全域」に広めたいと考える人もいます。

具体的に考えてみましょう。

たとえば、以下のような提案がされたとします。

  • お笑い芸人の漫才を、東南アジアで、TVショーの人気コンテンツにする
  • 日本の伝統的な笑いである「落語」の公演会を、アメリカの全州で実施する

この2つの解決策(=広めるための活動)は目指す方向性がまったく異なります。

言葉の定義を明確にしないことで、人それぞれが思い思いの解決策を提案してしまうのです。

すると、議論に膨大な時間を費やすことになり、結果として無駄が多く、何も進まなくなります。

つまり、言葉を定義しないと、議論のゴール設定が人によって異なるため、正しい解決策を導くことができないのです。

さらには「あの人はこちらの意見を理解しない」など、人の批判につながることもよくあります。

今回の新卒採用のGDでは、「まず初めに皆さんの認識がずれないよう、今回のお題の定義をしましょう」という発言が必要でした。

このように言葉の定義を最初にできる人は、選考を通過することが多いです。

もちろん、採用面接だけでなく、「言葉の定義」はどんな仕事をするうえでも大切なポイントです。

あなたがコミュニケーションをするときに「話が進まない」「解決策や問題の考え方がどうもすれ違っている」と思う場面に出くわしたら、ぜひ改めて「言葉の定義」をしてみてください。

人ごとの認識の違いにびっくりされると思います。

(本記事は『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の一部を抜粋・編集したものです)