読書の「ファスト思考」「スロー思考」
現代は、スマートフォンが普及し、「読書よりも効果的なオンライン学習法」が一般化しています。本を読む行為に比べてとにかく手軽・気軽・簡単です。スマホをネットにつなぎさえすれば、いつでもどこでも最短効率でその恩恵を享受できるわけですから、活用しない選択肢なんてあり得ません。
読書は「面倒で非効率な手段」であり、もっと「効率的な学習の選択肢」は、他にいくらでもある。はたしてこんな時代に、「読書力」なんて必要なのでしょうか。ぜひ自分なりの見解を考えてみてください。
なぜ、いきなりこんなことをお願いしたのか。
面倒だから「やらない、いらない、選ばない」という、一見すると当たり前としか感じられないこの判断基準について、あなたに再考を促してみたかったのです。
面倒だから「こそやる、必要、選ぶ」といった基準が、今の時代には重要なのではないか?
これが、本書の読書観です。めんどくさいから「読まない」のではなく、めんどくさいからこそ「読む」のです。この本質を理解してもらうために、1冊の本を紹介させてください。
原書のタイトルは『Thinking, Fast & Slow』。文字通り、私達の思考には「Fast=速い思考」と「Slow=遅い」思考の2タイプがある。書籍内でカーネマンは前者を「システム1」、後者を「システム2」に分けていますが、ここでは意味内容を重視し、次のような解釈・表記も積極的に使っていきます。
「ファスト」思考=システム1=「とびつき」思考、「浅い」思考、「茫然(ぼうぜん)」思考
「スロー」思考=システム2=「めんどくさい」思考、「深める」思考、「没頭」思考
このシンプルな2分類でこれまでの話を捉え直してみると、YouTubeの書評動画やvoicyの音声レビュー、noteの解説ブログやTwitterの図解投稿で済ませてしまうような行為は、いずれも「プロセス・カット」や「ショート・カット」をベースにした思考。すなわち、安易な道を選ぶ「とびつき」思考と言えるのではないでしょうか。
次から次へと情報が流れてくる時代です。「そうでもしないとやってられない」と言われれば全くその通りなのですが、だからといって楽な選択肢に飛びついてばかりの日々を過ごしていたら、一体どうなってしまうのか。
ぜひ、自分なりの見解を考えてみてください。