10月開始の後期朝ドラが
『紅白』にあまり絡まない理由

 10月はじまりの後期朝ドラが『紅白』にあまり絡まない理由は、ちょうどドラマの撮影が『紅白』とかぶっているためと言われている。朝ドラ撮影を優先するということが不文律のようになっていたのだ。

 残念な先例をあげると、去年の『ブキウギ』(23年度後期、10月〜3月)。ヒロインのスズ子(趣里)が音楽ものでかつて『紅白』にも出演した笠置シヅ子をモデルにした人物で、劇中、歌のシーンがたくさん登場したこともあり、司会は無理だとしても、なんらかの形で趣里が出演して笠置シヅ子特集的なコーナーが設けられるのではないかと期待されていた。

 出ずっぱりの司会は無理としても、BK朝ドラだって『紅白』に関わってきたものはいくつもある。ところがやっぱり撮影が大変らしいとのことで趣里の出演はかなわなかった。

 それが今回は、出ずっぱりの司会で橋本環奈が出演することになったのである。歴史が動いたのだ。なぜ、こんなことが起こったのか。それは順番が逆であったからだ。

 橋本の場合、朝ドラ人気ありきの紅白司会抜擢ではなく、紅白司会あっての朝ドラ主演だった。橋本は紅白司会の実績で朝ドラヒロインを獲得したのだ。

 NHKのキャスティングは『紅白』に限らず、自局への貢献度を大事にしていると聞く。朝ドラをはじめとして大河ドラマの主演俳優が司会や審査員に起用されることがよくあるのはそのためだ。

 ただし、ドラマで貢献し『紅白』司会に選ばれたとしても、俳優業と司会業は別物である。ときには手際よく司会進行できないこともあったり、言葉を噛んだり、名前を間違えたりと、生放送でのハプニングが起こることもある。

 2013年、綾瀬はるかが大河ドラマ『八重の桜』で主演した年、やけにのんびりムードなうえ、コメントがカミカミでハラハラさせたが、彼女だけでなく、16年の有村架純や、17年の広瀬すずなどにも危うい局面が見受けられた。