エネルギー動乱J-POWERの菅野等社長 Photo by Masato Kato

国内トップ5に入る発電実績を持つJ-POWER(正式名称は電源開発)。大手電力などに電気を卸す「B to B」の会社として知られていたが、にわかに電力小売り事業者(新電力)としての存在感も増している。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、菅野等社長のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

「電力市場価格を予測して
発電所を稼働」が今期奏功

――2025年3月期決算見通しは、旧一般電気事業者(旧一電、東京電力ホールディングスなど大手電力10社)があまり良くない中、堅調です。

 われわれはいわゆる地域の電力会社と違い、電力卸売りを全国で展開しています。一番大きい要因は、電力市場価格をきちんと想定しながら発電所を稼働させていること。そのシステムがようやく、軌道に乗ってきました。市場価格が高い時にはきちんと動かし、低い時には止めるという判断を、予測をした上でしています。ようやくなじんできたのが今年度です。

――J-POWERは石炭火力が多いですが、技術的な進展があったのでしょうか?

 技術的なことではなくて、発電所と販売の連携です。販売の方が予測をし、それに基づいて稼働を決めていく。プラントの傷みは一定出力で運転するよりは出てくると思う。なるべく負荷を早めに察知して修繕していかなければいけません。どこの箇所をどのような予測をもって修繕するか。そういう技術的な見立てはします。各現場の取り組みがまだまだ道半ばですが進んできました。

――液化天然ガス(LNG)と石炭の燃料価格差が石炭火力の粗利に影響し、価格差が近接すれば石炭火力の粗利を確保することが難しくなります。一般的に、26年ごろから世界のLNGの供給量は増える見通しといわれています。米大統領に再任するトランプ氏が「増産せよ」と言えば早まるのかもしれません。

次ページでは、にわかに存在感が大きくなってきた電力小売り事業(新電力)、再生可能エネルギー資産保有・開発の方向性、建設が遅れている大間原子力発電所、などについて、J-POWERの菅野等社長が語った。