新電力絶体絶命!? 経営危険度ランキング全68社・団体#6Photo:Martin Appleson/gettyimages

2023年度(23年4月~)の新電力の電力販売量の最上位クラスで、序列変化の兆しが出ている。法人向けの高圧電力で圧倒的に強く、長年王者だったNTT系のエネットが販売量を減らし、王者陥落の危機にあるのだ。特集『新電力絶体絶命? 経営危険度ランキング全68社・団体』(全8回)の#6では、下剋上を果たして初の新電力1位の座を手中に収めそうな「あの大手新電力」の実名と、その実力を明かす。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

カルテル処分などで異変の電力業界
新電力でも業界序列に異変

 大手電力4社が絡んだとされる「巨額カルテル事件」の処分とその後の3社による「取り消し訴訟」、4社の株主による「株主代表訴訟」、中部電力と東邦ガスへ年末に示された「新たなカルテル」の課徴金案――。

 大手電力の2023年は、実に異変続きの一年だった。

 そこは新電力業界も似たようなもの。23年度(23年4月~)の新電力の電力販売量順位で、上位クラスに異変が起きているのだ。

 新電力業界をおさらいすると、新電力の中では長年、法人向けの特別高圧・高圧電力で強いエネットが、全電圧合計の販売量で他を圧倒し続けてきた。同社は2000年設立の老舗新電力であり、NTT完全子会社のNTTアノードエナジー、そして東京ガス、大阪ガスが出資する。

 電力小売全面自由化の16年度以降を見ても、わずかの差で2位となった19年度を除き、エネットはリーディングカンパニーであり続けてきた(次ページ表参照)。

 だがエネットは23年4月から、月次の電力販売量が前年同期比半減ペースで推移している(次ページ図参照)。その結果、下剋上が起きそうなのだ。

 初の新電力1位の座を手中に収めそうな「新電力大手」とは一体。