まずは3食バランスよく食べ、毎日決まった時間に床につき、目覚めたら無理に二度寝せずに早起きをして、趣味に時間を費やしたり、散歩に出たりして身体を動かしてみてください。こうして時間を有効に使うほうがずっと有意義で、脳にとってもプラスになります。睡眠時間はあくまで目安です。短時間でも、途中で目覚めても「眠って気持ちがよかった」という睡眠休養感を感じられるように工夫して、暮らしを楽しむことに主眼を置きましょう。
睡眠負債を抱えた時は
短時間の昼寝でリセット
どうしても就寝時間を変えることができない、慢性的な睡眠不足で寝不足のだるさや作業効率が落ちた状態(睡眠負債)を抱えたままの場合は、昼寝をしてみるのも手です。
昼食後から午後にかけて短時間睡眠をとることで頭が格段に冴えて、午後の仕事のパフォーマンスが上がる。そんな効果を狙って午後の仮眠を「パワーナップ」と呼び、作業効率向上の切り札にしているビジネスパーソンもいます。
米国で子どもを対象に行った、昼寝をした場合としなかった場合の記憶の定着度合いの違いを調べた研究があります。
典型的な出来事を記した絵本を読み、2時間の昼寝をはさんだのちに、読んだ絵本の物語の場面を描いたカードを正しい順番で並べてもらいました。1週間後、同じように絵本を読んで、今度は昼寝をせずに静かな活動をした後にカードを並べてもらいましたが、昼寝をしたときのほうが、カード並べの正答率が高くなりました。
さらに、昼寝による記憶力強化の効果は24時間持続したのです。眠らずにカード並べをすると、記憶力のパフォーマンスが約10%落ちることもわかりました。昼寝をすると眠気がとれるばかりか、記憶の定着もよくなるのです。
しかし気をつけなければいけないのが、睡眠時間です。実験で子どもたちには2時間の昼寝をとってもらいましたが、私たちが昼寝をするときは、15分から30分、短時間がいいのです。30分以上寝てしまうと、深い眠りに入ろうとノンレム睡眠体制になってしまうので、起きたときにだるさを感じたり、ぼんやりしたりしてしまい、むしろ作業効率は悪くなります。