「こんなことも書いていいのかな?」と思うような小さなことでも、思いつくままに書き出してみましょう。パートやアルバイト、ボランティア活動、さらには趣味で行っていたことまで、細かく書けば書くほど、自分ができることが見えてきます。

 あらためて職務内容を書き出してみると、「あれ?自分はこんなこともやってきていたのだ」「自分はこんなこともできるのだ」と気づくこともあるでしょう。

 たとえば、「クレーム対応で、お客様の満足度を90%まで引き上げました」なら、問題解決能力やコミュニケーション力があることがわかります。また、相手のためにつき合う粘り強さを表すことにもなるでしょう。「在庫管理システムを改善して、在庫回転率を30%向上させました」なら、問題解決能力や論理的思考力の高さをアピールできます。

ステップ(2)軸となる経験を見つける
職務経歴書から自分の「軸」を探してみよう

 自分のこれまでの経歴や、やってきたことなどを時系列で書き出したら、次は共通点を探してみましょう。「軸」を見つけるのです。このプロセスは、自己理解を深めるうえで非常に効果的です。

 職種が違っていたり、業界が異なっていたりすると、まったく別の仕事だと考えてしまう人は意外と多いです。でも、よくよく見てみると、1本「軸」が通っていることもよくあります。

 Cさんは保育士として勤めたあと、アパレルの販売員、雑貨店の販売員など転職を10回ほど繰り返していました。本人は「仕事に一貫性がないし、どれも違う職種だからとてもキャリアとは言えないですよね……」と自信なさげでした。アパレル経験があるので、「服が好きなのですか?」と聞いてみると、それほど服には思い入れがない様子。Cさんと一緒に、「なぜこの仕事を選んだのか」を振り返り、掘り下げていくうちに、Cさんのこれまでの仕事にある「共通点」があることがわかったのです。

 それは、どれも「人に接する仕事」という点。保育士もアパレルの販売員も雑貨店の販売員も、パソコンに向かってひとりで行うようなものではなく、すべて人とのかかわりによって成り立っている仕事ですよね。Cさんは、まったく脈略なく転職を重ねてきたと自分では思っていましたが、実は自分の「軸」に沿って仕事を選んできていたのです(本人は無意識だったようですが)。

 このように、仕事を棚卸ししていくことで、自分の軸が自然と見えてきます。そして、自分が何を大事にしてきたかもわかってくるのです。