都心での売れ行きは好調
しかし、それが続く保証はない
都心3区とは反対に、郊外の売れ行きには陰りが見え始めている。都区部を除く首都圏、つまり、都下+神奈川県+埼玉県+千葉県では2021年の11.6%から22年は9.4%、23年は7.3%、24年は6.8%と急激に下がってきている。
在庫件数は2021年から2024年には38%増えたが、成約件数は12%減っている。都心3区の価格の前年比の過去5年平均が109.7%だったが、首都圏でも107.6%となっており、同様の値上がりを見せていた。
都心3区は成約件数も増えながら価格上昇はそれ以上となっていたが、都区部を除く首都圏は価格上昇の中で、需要が急激に減退していることが分かる。
都心の熱狂と郊外の沈静の間にある都心3区を除く都区部は、どちらの影響も受けてどっちつかずな状況にある。コロナ禍の2021年は7.6%と高かったが、22年は6.2%、23年は5.6%に下がり、24年に入って6.6%とやや回復した。
24年は都心3区の価格高騰が準都心の需要を増やしたことが想定される。しかしながら、前年比で在庫は7%増え、成約は8%減っている。売れ行きはどちらかというと悪化していると言っていいだろう。
24年の新築マンションの供給戸数は2.3万戸程になりそうで、前年の2万6873戸から15%ほどの減少に相当する。最近の新築マンション単価は建築単価の急騰で中古単価以上に高額化している。このため、中古の売れ行き悪化と同じ現象が新築にも波及し始めている。
今のところ、新築供給戸数の減少から、都心の稀少性も生まれており、都心での売れ行きは悪くない。しかし、それが続く保証があるとは言えない。
なぜなら、都心3区の熱狂のきっかけは、「1億4360万円報道」からだった。24年の新築マンションの累計値は1月下旬に発表されるが、11月までの累計値から類推するに供給戸数が減少し、平均価格は下落し、在庫は増加しそうだ。