特に今の子どもは低学年から塾に通ったり、さまざまな習い事をしたりして、始終誰かと比べられ、自己肯定感を持つことが少なくなっています。好きな科目があること自体、楽しんで勉強ができるという利点があるうえ、結果、成績がよくなって褒められるというのは何にも代えがたい自己肯定感を得る機会となるでしょう。
私はよく自分の塾に来る子の親御さんに「中学受験は1教科でも自分から勉強したいと思う好きな科目や得意な科目があれば、大成功です」とお話しています。それくらい好きなこと、得意なことを伸ばすことは、重要なのです。
学力一辺倒ではない入試も広がりつつある
教育現場は日々変化しており、新しい試みや取り組みが行われています。例えば、プレゼンテーション形式の入試や、好きな本を読んで説明する入試など、従来とは異なる形式の入試が増えてきています。勉強が得意な子も不得手な子も普通の子も、子の個性や特長がどのようなものであれ、これからの時代は、従来の評価基準では輝けなかった子どもが必ず輝ける機会が増えてくることは間違いありません。
親は常に新しい教育に関する情報収集を行い、アンテナを張っておくことで、子どもの才能や特性に合った教育機会を見つけやすくなり、子どもと同じクラスの子のほとんどが中学受験するから、うちの子も(平均から遅れないように)させなくてはならない、という横並び思想から距離を置くことができるのです。
さらに、親は自分自身が時代遅れになっていないか意識する必要があります。今の6年生は東日本大震災を経験していない世代。令和生まれの子どもたちはもうすぐ小学生になります。時代の進みは非常に早く、親の常識が子どもたちの世界では通用しないこともあります。
社会人である親自身も、職場では新しい考え方を実践していることが多いはずです。例えば、若い社員に、本人が苦手にしている点ばかり指摘すると離職につながるため、得意なことを伸ばす方針を取っているかもしれません。
それなのに残念ながら、比較的多くの親が自分の子に対しては、急に保守的になり、旧来の価値観で4教科の勉強をしなさいと言ったりしがちです。職場で柔軟な人材教育や採用活動をしているなら、家庭でもその観点を持つことが重要です。