4教科では評価されにくい才能を持つ子どもたち
一方、下位15%の子どもたちも、現在のアベレージ教育では十分に個性や才能を伸ばすことができません。例えば、教科の成績がふるわなくても、文章を読むことが得意な子や、音楽的な才能がある子、スポーツが抜群にできる子など、4教科では評価されにくい才能を持つ子どもたちはたくさんいます。これらの子どもたちの能力を正しく評価し、伸ばしていく仕組みが必要です。
一部の中学入試では、英語や中国語の試験を導入したり、プログラミングや物づくりの能力を評価したりする動きが出てきています。一科目入試のような、得意な科目で勝負できる入試形式もあります。従来の4教科では評価されにくかった才能を持つ子どもたちにとっては福音となり得ます。
飛び級制度の導入も検討する価値があるでしょう。日本ではスポーツの世界では飛び級が認められているのに、学業ではごく一部の大学入試を除き、ほぼ認められていません。
発達障害を抱える子どもたちについても同様です。発達障害の子どもたちが増えているというよりも、むしろ以前から一定数いた特性を持つ子どもたちが「発見」されるようになってきたのだと考えられますが、このような子どもたちに対して、地域で特別な教育を提供することも検討に値します。
似たような特性を持つ子どもたちを集めて教育することは、決して差別ではなく、むしろ効果的な教育方法の一つかもしれません。
そして、オンライン学習などの技術の進歩により、子どもたちが使えるツールも変わってきています。パソコンの使用に長けた子どもは、キーボード入力のスピードや情報処理能力で他の子どもたちよりも優れた能力を発揮するかもしれません。鉛筆で書くのが苦手な子どもでも、パソコンを使えば優れた文章を書けるかもしれません。また、音声による学習が得意な子どもや、視覚障害のある子どもたちにも、新しい技術を活用することで学習の可能性が広がります。