教育システムはすぐには変わらないが、確実に変わる予兆がある

 教育システムの大きな変革はすぐには起こりませんが、確実に変化の兆しは見えています。海外の全寮制学校をモデルにした学校が日本に登場したり、新しいタイプの通信制高校の登場など、多様な教育の形が生まれつつあります。

 この連載でたびたび言及している渋谷教育学園幕張(渋幕)や渋谷教育学園渋谷(渋渋)、広尾学園なども、従来の教育とは違ったタイプの教育を模索しており、先進的な意識の保護者の大きな支持を得ています。

 とはいえ、変革の方向性は学校によって様々です。「働き方改革」が定着しつつある現代ですが、昨年、楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長が、一元的な働き方改革に疑問を呈し、働きたい人の「働く権利」も尊重すべきという趣旨のSNSの投稿をして物議をかもしました。

 学校教育の変革でも、最先端の技術を取り入れたり先進的な思想が特長だったりする学校もあれば、寮生活など規律の下で集団生活を送るといった厳しさを売りにする学校もあります。学生任せの自由さとは正反対のアプローチで、逆に人気を集めています。このように変化の方向が一様でないことこそが重要なのだと私は考えています。

 何が正解かということではありません。お子さんの得意なこと、個性を伸ばせる教育はどこで行われているのか。親はそのことを第一に考えて、新しい教育の可能性につねにアンテナを張っていてほしいと思います。

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