後部座席の乗り心地の良さが、意外なところに効いている

森:インドの人たちはファミリーをとても大切にします。大人になっても一緒に住んでいるし、離れて住んでいても週末は親のところに戻って、親をクルマに乗せて一緒に買い物に出かけるような生活をしています。そんな中で、息子が就職したし、給料もこれからどんどん上がるのだろうから、と親が援助するケースも多いんです。いわゆる「パパローン」です。これも多い。親からお金を借りて、一緒に販売店に来て、「それじゃ、このクルマを買おうか」というような。するとフロンクスはドンピシャなわけです。若い本人が満足できるスタイリングと装備を持っていて、後部座席には親がゆったり座れる居住スペースが備わっている。

F:なるほど。親が一部購入資金を援助してクルマを買う。ならばまずは親が納得する後部座席の乗り心地が良いクルマでなければいけない。一方で若い人はあか抜けないファミリーカーじゃイヤだから、バシッと格好いいクルマが欲しい。その両方の要素を満たすクルマがフロンクスであると。

森:そういうことなんです。

日本だけの4WDモデルは受注数の4割

F:日本はまたニュアンスが異なるでしょうね。何しろコスパが良い。この車格にこの充実装備。それでこの金額はちょっと信じられない。本当に利益が出ているのかと、他人事ながら心配になってしまう(笑)。

森:大丈夫です。ちゃんと利益は出ています(笑)。

F:日本向け“だけ”に造った4WD仕様車は売れているのですか。造った意味はありましたか。

森:受注台数の約4割が4WDです。造った意味も価値もありました。

F:インドで大人気とのことですが、日本でもよく売れていますよね。

森:おかげさまで、はい。