誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【精神科医が教える】「わかります」が逆効果? 信頼を損なう“勘違い共感”の落とし穴Photo: Adobe Stock

共感とは何か?

 今日は「共感する」ということについてお話したいと思います。共感について改めて考えてみると、実はとても難しいことだと感じます。

 言葉で「そうなんですね」とか「大変でしたね」と伝えるのは簡単ですが、それだけでは本当に共感したことにはなりません

 共感とは「共通の感覚」と書くように、相手との共通の感覚を見出して、それを感じられたときに成立するものだからです。

すべてに共感する必要はない

 大切なのは、相手のすべてに共感する必要はないということです。

 すべてに共感しようとすると、共感できない点がたくさん見つかり、無理に共感しようとして葛藤が生じたり、表面的な言葉だけで共感を示してしまったりします。

 それでは本来の共感とは違うものになってしまいます。では、どのように共感すればよいのでしょうか? まずは相手の話をじっくり聞くことが大切です。

 患者さんを診察するときにも、最初は相手がどのような人なのかわからないので、どんな理由でここに来院したのか、その症状を丁寧に聞きます。そして、よく話を聞いていると、最初の印象が変わることがよくあります。

話を聞くことで共感のポイントが見つかる

 最初は「こういう人かな」と漠然と感じていたのに、話を聞いていると違う面が見えてくることもあります。話を聞き続けることで、その人がいま感じていることだけでなく、違う側面にも気づくことができます。

 このように話を聞いていくと、相手のすべてに共感できなくても、一部に共感できるポイントが見つかります。そこで「ここはわかるな」と思った部分を伝えれば、それが共感となりやすいのです。

 ですから、共感するためには、まず相手の話を聞く。その中で共感できる部分を探すことがポイントになります。

まずは相手の話を受け止める

 話を聞く前に、こちらの意見を押し付けたり、「あなたはこういう人ですよね」と勝手に決めつけたりするのではなく、まず相手の話を受け止めることが大切だということ。

 そこから共感できる部分を見つけて、それを表現することで、相手も共感されたという実感を持つことができます。

 逆に、十分に話を聞かないうちに、共感しようとして「大変でしたね」と言っても、相手には響きません。それは共感ではなく、ただの表面的な言葉に過ぎないからです。

共感は「共通の感覚」を大切にすること

 共感をしたいなら、まずはしっかりと話を聞き、共感できる部分だけに焦点を当てて話を広げていけばよいのです。

 すべてに共感しようとしなくてもよいのですから、「共感なんてできない」と思う必要はありません。共通の感覚を持てる部分を探し、それを大切にすればよいのです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。