著書に『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』がある。これまで、だれもが知る上場企業をはじめとして、さまざまな業種の中小企業も含め、実に3000社以上の経営者と向き合ってきたという。著者のコンサルタント時代のエピソードが豊富に紹介されているのも、本書の特長のひとつである。
本書では、7つの黄金法則と5つの思考法が提示される。7つの黄金法則には、
「とにかく反応するな」
「頭のよさは、他人が決める」
「人と闘うな、課題と闘え」
「承認欲求を満たす側に回れ」
といった内容が含まれる。
要約者が興味深いと感じた黄金法則は、「人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する」である。
この法則を説明する例として、デートの相手から「この青の服と、白の服、どっちを買ったらいいと思う?」と聞かれたときの“正解”が示されている。さて、あなたなら何と答えるだろう?
答えはどちらかの色を選択するのではなく「白と青、それぞれ、どこがいいと思ったの?」だ。これによって、相手のことを考えていると表現することができる。
一読のすすめ
著者は本書の「はじめに」で「何度も読み返したくなる本」ではなく「読み返さなくていい本」を目指したと述べている。巻頭にある「話すたびに頭がよくなるシート」を切り取り、空欄を埋めて持ち歩くだけでOKだというのだ。
また、5つの思考法に関しては、「自分のしたい話ではなく、相手の聞きたい話から話して、相手の聞くスイッチを入れる」「言語化するコストを誰が払っているかを意識せよ」など、グサリとくる人が続出しそうな内容だ。ぜひ手に取って読んでもらいたいと思う。
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ビジネスシーンでの説明力を
ワンランクアップさせる本
著者/桐生稔(株式会社モチベーション&コミュニケーション代表取締役)
【この本の要点1】
何かを説明する際、三流は思いついたまま話し、二流はモレなくダブりなく話し、一流は大胆に削って最も重要なポイントのみを話す。
【この本の要点2】
相手に協力を求めるとき、一流は「目的(何のためにそれをするのか?)」と「個人への関係性(それを実現すると相手に何が起こるか?)」を伝える。この2つが重なってこそ、行動を促せる。