3.Implication/示唆質問:
問題がもたらす影響や結果を探る質問で、問題の重要性と解決の緊急性をバイヤーに認識してもらう
バイヤーのステークホルダー(お客様や現場など)に対し、どんな影響を及ぼしうるか、示唆する質問を有効に活用します。問題が解決されない場合の影響にも言及します。
商品、コスト、労力、時間、スペース、ブランドという経営資源に対するインパクト。お客様の満足度、現場の負荷、小売業のブランドエクイティ、評判リスクなど、バイヤーのステークホルダーに与えるインパクトを示唆します。
課題が明確になっても解決策の結論を急がないことが大切で、一方的に解決策を提案するのではなく、顧客と一緒に解決策を考える良き相談相手となることを目指します。
<質問例>
●もし新製品「エコクリーンプラス」のように洗浄力が2倍になり洗濯時間が短縮できる洗剤があれば、お客様の満足度にどのような影響があると思われますか?
●環境に優しい洗剤を導入することで、御社の企業イメージにどのような効果があると考えられますか?
●コンパクトなパッケージと柔軟効果のある洗剤の導入により、店舗のオペレーションにどのような変化が起きると予想されますか?
4.Need-payoff/解決質問:
解決策がもたらす利益や価値を顧客に考えてもらう質問で、バイヤー自身に解決策の意義と価値を認識させ、購買意欲を高めてもらう
最後は、最終的にこの解決策にどんな価値があるかを問います。数値化できる利益に焦点を当てたり、バイヤーのステークホルダーに対する価値を言及し、具体的なメリットをバイヤーに想像してもらうような質問をします。
顧客が現在抱えている課題を実際に解決できたらどうなるか、についてイメージしてもらうための質問を投げかけます。
実際に課題を解決する方策として、自社のサービスが有効であると感じてもらうよう努めます。一方で、顧客自身が解決することの価値に気づいてもらうのを待つことも重要です。
<質問例>
●新製品「エコクリーンプラス」の高洗浄力と環境配慮を両立した新製品を導入することで、御社のお客様にどのようなメリットが得られると思われますか?
●コンパクトな容器で同等の洗浄回数を実現できれば、現場のオペレーションに関し、在庫管理や陳列スペース、バックヤードからの品出し作業の面でどのような利点がありそうですか?
●この新製品の高付加価値商品としてのプレミアム価格の位置づけと、リピート購入意欲の高さにより、御社の洗剤カテゴリーの売上が約7~8%、粗利益が約10%増加すると試算していますが、どう思われますか?
こうした質問例は、「SPIN話法」の各ステップに沿って、バイヤーの現状把握から問題点の特定、その影響の認識、そして解決策の価値の理解へと導くように設計されています。
しかし、事前に用意した質問をすべて問うのではなく、「説得的販売話法」の流れの中で、必要に応じて自然に織り交ぜ、状況に応じて適切に質問することが有効です。
そうすることで、提案の価値をバイヤーに効果的に伝え、バイヤーとの信頼関係を築きながら、より効果的なコミュニケーションを展開し、商談成功につなげることができます。
※本記事は『営業戦略大全 世界レベルの利益体質をつくる科学的ノウハウ』宮下建治(ダイヤモンド社)からの抜粋です。