![レプリコンワクチン騒動で国会議員だろうと訴える、Meiji Seika社長「異質な人物像」](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/650/img_30fca681cd97436798cd625ddb209481235167.jpg)
国内製薬企業の社長と言えば高そうな船来の背広に身を包み、内心は別として、表向きは冷静沈着な立ち振る舞いで社業を粛々とリードしていく人物が多いという印象がある。実際、アルコールを口にしなければ人格者そのもの、と高く称されているトップもいる。箸の上げ下げまで小姑のように口を出す監督官庁からの「圧」のもと、日本医師会という虎の尾を決して踏むまいと考えているうちに、冒頭に述べたようなタイプが量産されていくのかもしれない。
ただし、物事には常に例外があるもので、業界にも個性豊かな型破りの人物は少なからずいた。昨年亡くなった武田薬品の武田國男元社長・会長あたりは、近年の最右翼であろう。身近に接した関係者ほど“國男ロス”に苛まれているのではなかろうか。だが現役においても、Meiji Seikaファルマを率いる小林大吉郎社長などは、キャラが立っている部類ではないかと思われる。
同社の初代社長を務めた松尾正彦氏が14年に親会社・明治ホールディングス(HD)の社長へと転じることになり、その後を小林氏が継いでから、はや10年余り。この間、経営の柱に据える医療用医薬品事業の舵取りに当たる傍ら、不正のデパートと呼ばれた化学及血清療法研究所の製薬事業を継承したKMバイオロジクスへの出資並びに運営にも大きく関わった。22年には農薬事業を三井化学の子会社へ、動物薬事業をKMバイオロジクスの子会社へそれぞれ譲渡するなど、ポートフォリオの整理も進めた。後継者がきちんと育っているのか否かは知らないものの、社長というポストに求められる役割を習熟したためからか、最近はマスコミ好きの武闘派との印象を強くしている。
Meiji Seikaファルマは09年に行われた明治製菓と明治乳業の経営統合の後、旧明治製菓の医療用医薬品事業を引き継ぎ、商号変更の末に誕生した。その明治製菓は終戦直後の46年に製造を開始したペニシリンで薬品事業に進出し、50年に上市したストレプトマイシンで「抗生物質の明治」の土台を築いた。94年に、自社創成したセフェム系経口抗生物質「メイアクト」が成功すると、全身性抗菌薬で国内トップの座を獲得した。
もっとも、21世紀に入る頃からは大型新薬には恵まれなくなり、その代わりとして、オーソライズドジェネリック(AG)を含めた後発品の取り扱いに本腰を入れると同時に、KMバイオロジクスの知見をもとに、感染症の流行とは切っても切れないワクチン事業の育成を急いでいる、というのが経営の鳥瞰図となっている。