「電車でGO!」の北越急行ほくほく線に感激
第2レグ:月夜野~直江津(163.0km)
天気予報では「群馬側にも雪を降らせる」と言っていたが、雪の予報はちょっとした等圧線の方向差でまるっきり違うものになるため難しい。猿ヶ京温泉から凍結・圧雪路となったものの、天候自体は良好。新三国トンネルへは余裕の充電率40%で到達した。トンネルを抜けるとそこは雪国だった...とはならず、快晴で気持ち良いドライブが続く。
日本海側で最初の充電スポットは、新潟・南魚沼の六日町となった。走行75.0km、電費7.3km/kWh。16分充電で充電率は12%から52%に。サクラに使う急速充電器はCHAdeMOに準拠したものだが、操作方法は統一されておらず機材によって異なる。クルマと機材の相性も存在するなど、プロトコル、仕様策定の両面で依然として甘さが残っているのはいただけない。CHAdeMO協議会には頑張っていただきたいものである。
ここまでは平和なドライブだったが、六日町で国道17号線に別れを告げて直江津の近道である内陸ルートに入ると、次第に状況が悪くなってきた。
といっても除雪が追い付かないほど雪が降るような悪コンディションではなく、圧雪を新雪がうっすらと覆う程度のもの。現地の人に話を聞いたところ、前夜に1m近く新雪が積もった後に雪が止み、午前中に除雪が進んだとのこと。
もっとも、アップダウンのきつい峠越えの箇所ではタイヤの空転を防止するトラクションコントロールの出番が多くなる。大型車はチェーンを巻かないと登れない場所もあり、道中、トラックが1台雪壁に刺さり、短時間ながら通行不能になるシーンにも出くわした。
この内陸ルートを通ってみたのは、筆者が昔ドはまりしたゲーム「電車でGO!2 高速編 3000番台」に出てくる、北越急行ほくほく線を見てみたかったからだ。その駅の一つ、まつだい駅に急速充電器があったので充電。冬場に、充電インフラが脆弱な地帯を通過するのは軽BEVにとってチャレンジングそのもの。だが、このように1カ所“ポツンと充電器”でもドライブの自由度は格段に増す。充電率は23%から65%に回復した。
その後、ほくほく大島駅、虫川大杉駅などを巡り、電車でGO!では見ることができない駅の外観、周りの街の様子などを感慨深く眺めつつ海沿いの町、直江津に充電率7%で到着した。
小雪が舞うものの全般的には平穏だった直江津までのドライブをまとめると、
1.乗り心地、静粛性などコンフォート性能は十分に高い。
2.圧雪、シャーベット路での操縦性は良好だが、エンジン車との差異を明確に感じるほどではない。
3.横浜~直江津間の走行363.3km、バッテリー充電率の変動は累積で332%。1%あたりの平均走行可能距離は1.1kmと、春夏秋の4分の3程度にとどまる。
4.充電速度は遅いが15分の小刻み充電であれば旧世代の普通車BEVくらいのペースで走れる。
積雪路では100%充電でも航続100kmを確保するのが難しいサクラ。低温環境下での使い勝手はお世辞にも良いとは言い難い。が、吹雪や深雪路などのエクストリームコンディションでなければ、工夫次第で遠出もある程度はできるというのが旅前半の印象だった。
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