
イギリスの名門校であるパブリック・スクール。英国首相など数多くのエリートを輩出しているが、それゆえ彼らの学閥も強固だ。出身校が見分けられるもののひとつに、学校ごとに違う「独特な言い回し」が存在するという。その内容とは。本稿は、秦由美子『映画で読み解く イギリスの名門校(パブリック・スクール) エリートを育てる思想・教育・マナー』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
まるで軍隊のような
パブリック・スクールの生活
パブリック・スクールの1日がどのようなものか、見ていきましょう。
「ハリー・ポッター」では学校生活の楽しい部分が描かれていることが多いのですが、パブリック・スクールの生徒によると、実際の生活は「軍隊」みたいだそうです。例えば、取材当時ハロウ校(図表1-8、1-9)の監督生だったブランドン君の朝はこんな感じです。


「朝の7時30分、ジリジリジリジリというけたたましい目覚ましベルに起こされ、シャワーを浴び、服を着ます。そうしていると、ハウスの点呼があり、寮監は皆が起きているか確認します。それから朝食で、8時30分にはチャペルに行きます。チャペルに行くのは、僕たちのハウスでは火曜と木曜の2日です。月曜には、スピーチ・ルームに集まり全校集会を行います。集会は8時30分から8時50分まで。そのあと1時間目の授業が始まります」