芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。

真正ととのいタイムは2分だけ!
外気浴を行うにあたって、私が最も大切にしているのは、速やかに行動することです。なぜなら、水風呂を出た瞬間から、「ととのい」タイムのカウントダウンが始まるからです。
そもそも「ととのう」とは結局、何なのか? それを医学的に言うとこうなります。
「ととのい」とは、血中には、興奮状態の時に出るアドレナリンが残っているのに、自律神経はリラックス状態の副交換神経優位になっている稀有な状態。
そして、真の「ととのい」タイムは約2分間で終了します。そのため、水風呂を出た後に体や髪を洗ったり、外気浴への動線が悪くて移動に時間がかかったりすると、貴重なととのいタイムが削られてしまいます。
次のグラフを見てください。これは、サウナ→水風呂→外気浴を行った時の、交感神経と副交感神経の働きを示しています。

サウナ室に入ると、最初は「温かい」という気持ちよさを感じるため、副交感神経が上がりますが、すぐに「熱い」に変わって、交感神経が急上昇します。そして、サウナ室を出ると、いったん元に戻り、水風呂に入ることで再び交感神経が上昇します。このとき、体は日常とは違う過酷な環境に適応するためにアドレナリンを出して、興奮状態にあります。
アドレナリンの血中半減期は2分
しかし、外気浴を行うことで、人体は生命の危機を脱したと感じ、一気に副交感神経優位になります。直前まで交感神経優位に引っ張られていた分、反動がついて、今度は副交感神経側に大きくメモリが振り切れます。
これにより、ふだん、ストレスフルな生活を送っている状態ではたどり着けないほどの副交感神経優位の状態が手に入ります。
しかも、サウナ→水風呂で交感神経が上昇したことによって分泌されたアドレナリンも、まだしばらく残っています。血中半減期(血液に乗って流れている間に効果が弱くなってきて、半分になるまでの時間)は2分です。
つまり、この2分間は、アドレナリンが残っているのに、かつリラックスしている、ゾーンのような状態になるということです。「リラックスはしているけれど、眠いわけではなく、むしろ清明に意識は晴れている」という、私が感じる「ととのう」の効果とも一致します。
だから、この貴重な2分間を存分に味わうために、水風呂から出た後は、速やかに行動することがとても大切です。
*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。