タフトは実用性でハスラーに劣る
ドライバー泣かせ&嬉しい点は?
では、レビューに入ろう。総合的な印象は、ハードウェア的には長距離には向かないもののネアカなキャラクターに気分が上がり、結果的にスーパーロングドライブもこなせてしまう、ノリの良さが取り柄のダイハツが作りそうなクルマだった。
特に面白かったのが、ライバルのスズキ・ハスラーとは著しく異なることだ。ハスラーはハイルーフボディで車内の居住性が高い。後席にスライド機構を備え、4名乗車のまま荷室を拡張することもできる。そのまま軽トールワゴン代わりに使えるため汎用性が高い。
それに対してタフトは、実用性ではハスラーに劣る。後席は足元空間こそ十分なものの着座位置が低かったり窓が狭かったり閉所感が強い。後席にスライド機構はなく、4名乗車だと荷室は狭小だ。
ところが前席となると話が違ってくる。標準装備されるグラストップがもたらす車内の明るさ、開放感の高さがドライブの気分を大いにアゲてくれる。ミリタリー調のシート生地や直線的デザインのダッシュボードデザインも見飽きることがなく、シンプルな操作系は機能的だった。要するに、同じクロスオーバーでもタフトはスペシャリティカー的なのだ。
ただし、弱点もあった。ADAS(先進運転支援システム)が使い物にならないくらい精度が低かったのだ。運転支援が機能しないのなら自力で走ればいいと考える人には問題ない。しかし、運転支援がほしい人には、気になるだろう。長距離ドライブ時の疲労耐性も、性能進化が著しい今どきの軽において、高くはなかった。
だが、そんな弱点を押してでも、遠出してみたくなるくらいのネアカなキャラクターはなかなかの魅力だ。おかげで3600kmドライブは終始、楽しさ満点だった。