パークでは、ゲストに「Positive InterAction」(PIA:ポジティブ・インターアクション)というホスピタリティを重視しています。ゲストに寄り添い、さらに気持ちを高めていただけるよう、クルーから積極的にお声掛けさせていただいており、ひとりでお越しいただいた場合も、クルーとのフレンドリーなコミュニケーションを通じて、パークをさらにお楽しみいただけます。

 筆者が当初、USJにおひとり様はほとんどいないと勘違いしていた背景には、こうしたUSJの方針とフレンドリーな人が多いことが関係していると思います。つまり、本来はひとり客なのにも関わらず、パーク内で誰かとコミュニケーションしているので、ひとり客に見えないのです。年パスの下支えと、特徴的な現地での過ごし方で、ひとりUSJが定着したと考えられます。

SNSで新たな消費者行動
家族単位から個人単位への変化

 平成中期頃までなら、テーマパークにひとりで行くのには惨めな感じ、孤独感があったはずです。しかし、現在はそうしたイメージはほとんどありません。SNSが普及していない2000年代頃までは、ひとり客は今ほど多くなかったと思います。SNSという全く新しい文明の利器が登場したことで、ひとりテーマパークの文化が醸成されたと考えられます。

 ウォルト・ディズニーがテーマパークという言葉とコンセプトを考え始めた1947〜48年頃、まさか現代の日本でひとり客が定番化するとは予想しなかったでしょう。ウォルトが考えたテーマパークとは、家族全員で楽しめるファミリー・エンターテイメントがコンセプトです。

 対して、日本人の余暇の行動が、家族単位から個人単位に大きく変化していることから、今後もこうした消費行動はますます増えると考えられます。

 『USJに1人で行く人は何を考えているのか?「公園を散歩する感覚」「何時間でも地蔵します」』では、ひとりUSJを楽しむ当事者のリアルな声をたっぷり紹介します。ひとりディズニーやひとりUSJに興味がある人、おひとり様やソロ活市場を狙う企業の参考になるでしょう。

USJPhoto:ymgerman/gettyimages
「マリオカート~クッパの挑戦状」「マリオカート~クッパの挑戦状~」 Photo:Diamond