でも、1次面接以降はゲームのルールがガラッと変わるんだ。面接に呼ばれたら、もうその時点で経歴的には最低限の採用基準をクリアしているってこと。書類選考を通過した時点で、強みがある人も、ない人も、ほぼ同列なんだよ」
「何となく言いたいことは分かるけどさ、書類選考を通らなければ何も始まらないだろ?その書類選考が『強み』重視だったら、結局は、僕みたいな経歴の弱い人間には厳しいんじゃない?」
「出たよ、ネガティブ田中」
「その呼び方はやめろ」
「さっき言っただろ?ほんの数枚の紙きれだけで人間の評価はできないって。職務経歴書を読んだだけでは、その人のことは分からない。つまり、書類選考において重要なのは『優秀な人かどうか』ではなく『優秀そうに見えるかどうか』なんだ」
書類選考で最も大事なのは
「企業が求める人物像」
「どういうこと?全然分からないよ。書類を見ただけで『優秀そう』と思われるためには、見栄えの良い資格や経歴が必要なんじゃない?例えば、僕みたいなFランク大学卒で、何の実績もない人が、『優秀そうに見える』なんてあり得ないよ」
「そんなことはない。もちろん、卒業した学校名や在籍企業名を書くだけで、一発で書類選考を通過できる人もいる。いわゆるハイスペック人材だね。それができるんなら、それに越したことはないさ。
でも、何度も言っている通り、みんながみんな立派な経歴や強みを持っているわけじゃないだろ?企業側にしたって、毎回高学歴エリートばかりが応募してくるわけじゃないから、うわべのスペックだけ見てバサバサ落としていったら、いつまでも採用活動は進まないよ」
「まあ、たしかに、応募してきた人がみんな似たような大学卒で、よく知らない企業の出身だったら、スペックだけでは優劣をつけられないのかもね…」
「企業の人事や面接官もアホじゃないからさ、高学歴イコール仕事ができるわけじゃないこともちゃんと知ってるよ。そんな上っ面だけの評価はさすがにしない。高学歴なら100%通過するわけでもないし、Fランク大学や専門卒なら100%落ちるってわけでもない。
その人が優秀だと判断されるかどうかは、学歴や企業ブランドだけで決まるわけじゃないんだ。企業が欲しがる個別の要素を持っているか否か。それがすべてだよ」