初代「パサート」は1973年生まれ
フォルクスワーゲン・パサートは、1973年の登場以来、世界中で高い評価を受けてきたミドルクラスの乗用車である。日本ではゴルフの圧倒的な人気の影に隠れてイマイチ目立たない存在であるが、累計販売台数は実に3400万台超。ゴルフに次ぐ同社の主力モデルである。

ここでパサートの歴史を少々。
1950年代から60年代、フォルクスワーゲンは安価で丈夫な名車ビートル(タイプ1)を武器に市場を席巻していた。

しかし60年代も後半になると、徐々にRRレイアウトの技術的な限界が見え始めてきた。同時期に欧州市場ではFFレイアウトの小型車が主流になりつつあった。ビートルは良いクルマだ。しかし基本設計が古い。フォルクスワーゲンは新しいプラットフォームを採用したモデルを開発する必要があった。
フォルクスワーゲンはFFが得意なアウディを1964年に買収している。傘下に収めたアウディが開発していたFFの技術を活用して、フォルクスワーゲン初のFF車として1973年に登場したのが、初代パサートである。
歴史的なトピックは2つ。初代パサートは“アウディ80をベース”に、“ゴルフよりも前に”発売されたクルマである。
デザインは、帝王ジョルジェット・ジウジアーロ。シンプルでありながら、洗練されたスタイルのクルマだった。昔のアウディだからエンジンは当然全て縦置きである。フォルクスワーゲン初のFF車の評価は高く、特に欧州市場で成功を収めたのだった。
