前モデルより大きくなり、室内が広くなった
いつものように、AD高橋氏から車両を受け取る。まずはその“大型化”に圧倒された。ボディサイズは全長4915mm、全幅1850mm、全高1500mm。前モデルと比較して、全長で140mm、全幅で20mm、ホイールベースはなんと50mmも拡大されている。全長が伸びた分は室内空間に当てられており、後部座席の広さには目を見張るものがある。これなら長距離移動でも後ろからの文句は出まい。

ちなみにメルセデスのCクラスワゴンのボディサイズは、全長4755mm、全幅1820mm、全高1455mm。Eクラスワゴンは全長4960mm、全幅1880mm、全高1470mmである。パサートはCクラスとEクラスの(少なくとも大きさは)中間に位置していることが分かる。この位置付けは何を意味しているのか。ここもインタビューの際に掘り下げて聞いてみよう。
エンジンをかける。ギアを入れてゆっくりと走り出す。ほぼ無音。このPHEVは電気の力だけで(少なくともカタログ上は)142キロも走ることができる。首都高に上がり、アクセルを踏み込んでみる。いわゆるEV的なガッとした圧力はなく、極めてマイルドな加速。
さらに強く踏み込むと、エンジンが始動する。この始動タイミングが実に秀逸で、「いつのまにか動いている」印象だ。
始動のタイミングは良いのだが、しかしエンジン音は結構なレベルで車内に侵入してくる。特に急加速時には高いターボ音が消しきれず、気になりだすと気になって仕方がない。ここは要改善。
試乗車にはオプション設定である電子制御連続可変ダンパ-「DCC Pro」(アダプティブシャシーコントロール)が搭載されていた。これがまた秀逸で、路面状況に応じてダンパーの硬さを刻々と変化させるのだ。コンフォートモードではたおやかな滑らかさで、荒れた路面でもボディが不要に揺すられることはない。ゆるいカーブ。ステアリングを切ると素直に曲がっていく。「クセ」というものが一切ない。実に素直。実に穏やか。もともと気張って飛ばすクルマではないのだが、新型になり、さらに優しくなった印象だ。


スポーツモードにすると俊敏な挙動になり、重いPHEVでもそれなりに切れ味のあるステアリングフィールを楽しむことができる。
が、もう一歩踏み込んでも良かったような気がする。モードを変えると走りは変化するが、「激変」とまではいかない。このボディサイズで機敏な動きは難しいのだろうか。いや、アウディではできていますからね。ここはおそらく、会社のクルマに対する考え方の問題だろう。