「良い会社にしてくれ」
成長を支えた“会長の一言”
――設立100周年を迎えたアース製薬は、総合日用品メーカーとして成長し、売上高はアースグループ連結で1700億円規模にまでになり、殺虫剤を「虫ケア用品」と呼称変更することでより消費者に受け入れられるようにもなった。川端社長は、時代の変化についてどのように感じているのか。

私が社長に就任して10年がたち、売り上げは750億円ほど伸びました。もしかしたら、私以外の人が社長を務めていたら、もっと成長していたかもしれません。実は売り上げの具体的な目標を会長から言われたことは一度もなく、「何とか成果を出さないといけない!」というプレッシャーはそれほどありませんでした。
経営を評価する指標は、売り上げだけでなく、利益や株価などいくつもあります。でも、会長からは「とにかく良い会社にしてくれ」とだけ言われました。定量的な数値目標を細かく決めるのではなく、長期的に会社を良くすることが大事だという考えだったのでしょう。
だからこそ、売り上げのプレッシャーを感じることなく、私なりの経営スタイルでやってこられたのだと思います。
企業の社会的責任が格段に重くなり、ステークホルダーとの関係も重要になっています。上場企業としての責任もあり、より広い視野で経営を考えなければなりません。
お客様のニーズも「とにかく虫を駆除しなければならない」という時代から現在では「予防」へと変化しつつあります。
このように、同じ製品を売り続けていても、求められるものは時代とともに変化してきていますので、私たちはその変化に対応しながら、これからも成長を続けていきたいと考えています。