――国内と海外では、異なる経営戦略を採っているのか。そうだとすれば、どこに違いがあるのだろうか。
日本市場にもまだまだ商機があります。ただ、収益を季節要因に大きく依存してしまうという課題があり、それが国内市場だけに頼ることの難しさでもあるのです。

海外展開では、パッケージデザインやキャッチフレーズのアプローチを国ごとに変える必要があります。たとえば、日本では少し漫画風のデザインを取り入れた方が目を引きます。
でも、海外では「漫画風=効果が弱そう」と思われることもあります。日本では親しみやすいデザインが好まれる一方で、海外では強い印象のデザインの方が信頼されることが多いのです。
このように、各国の消費者の感覚をしっかり理解し、その国に合ったアプローチを取ることが重要になります。単純に「海外でも日本と同じデザインで売ればいい」という考え方ではうまくいかないのです。
「技術は同じ」でも勝てる
“売れるデザイン”の秘密
――アース製薬は現在、国内の虫ケア市場で6割ほどの高いシェアを誇っている。同社の虫ケア用品の代名詞である「ごきぶりホイホイ」は、1973年の発売。粘着剤を使ってゴキブリを捕獲するアイデアは、「トリモチ」から着想を得たものだ。家を象った紙の箱に誘い込んで粘着剤で動けなくし、簡単に捨てられるという利便性が受けに受け、発売から50年以上も世界中で愛されるロングセラー製品となっている。だが、そんな強力な製品を有する虫ケア用品であっても、常に市場のニーズに合わせて「進化」を続けているという。競合他社との差別化を図るため、同社が行っている製品開発の強みとは何だろうか。