文系・理系それぞれの1位は
注目企業ランキングを一挙紹介

 文系学生と理系学生では、注目する企業に明確な違いはあるのか。

 今回、それぞれのランキングを集計したところ、総合ランキングと同様に、NTTデータとアクセンチュアがいずれもトップ2にランクインした。

 文系学生においては、過去に初任給の大幅な引き上げが話題となったサイバーエージェントをはじめとするIT系企業のほか、保険会社やメガバンクといった金融業の企業が多く上位に名を連ねた。

 一方、理系学生のランキングでは、3位に入った日立製作所を筆頭に、パナソニックやNECなど、“ものづくり”を主軸とするメーカーが多数ランクインしている。

 こうした注目企業に実際に入社した先輩たちが「入社を決めた理由」として挙げたのは、社風や就職活動中に出会った社員の人柄に惹かれたこと、業務内容や企業のビジョンが自身の志向と合致していたことなどである。実際の体験談を見てみよう(原文ママ)。

「(1)やりたい仕事内容、(2)配属選びの選択が可能な点、(3)勤務地が東京の3点が自分と本音の就活軸とマッチしていたため」(24卒文系、サイバーエージェント入社)

「グローバルに働ける企業である一方で、支社が全国各地にあり、一年目は自分の地元で働けるところに魅力を感じたため」(24卒文系、東京海上日動火災保険入社)

「コース別採用で入社後の業務が明確であったため、勤務地や将来のキャリアプランなど他候補よりも想像しやすい要素が多かった」(25卒文系、三井住友銀行入社)

「ワークライフバランスが最もとりやすいと感じた。また、配属先も決まっていたため、安心感があったため。勤務地もよかったため」(25卒理系、日立製作所入社)

「インターン参加した際や、社員さんと話す中で人柄が良い人が多く自分に合っていると感じたため。また勤務地が希望通り通ったため」(25卒理系、パナソニック入社)

「職種別採用であったことから、勤務地・事業内容・職種が確定していることが大きかった。事業部の中ならどこになっても面白そうだと感じたから」(25卒理系、NEC入社)」

 さらに、勤務地が固定されていることや、入社前の時点で配属先が確約されている点を評価する声も多く見受けられた。

 近年では、キャリアやライフプランを主体的に描こうとする学生が増える中で、入社まで勤務地や配属先が分からない、いわゆる「配属ガチャ」に対して不安を感じる学生も少なくない。

 文系・理系の両方でランクインしている富士通は、こうした背景を踏まえ、新卒一括採用の廃止を発表した。これに伴い、「地域限定職」や入社前の配属確定、さらには職種別採用など、学生のニーズに応える採用制度を導入する企業は今後さらに増加すると予想される。

 学生の就職に対する価値観が変化する中で、「学生に選ばれる企業」であるためには何が求められるのか。売り手市場が継続する現在、企業側の対応や姿勢にも今後一層の注目が集まることになるだろう。