![メガバンク・地銀・ネット銀を大解剖 [最新]銀行ランキング](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/f/650/img_cf7fa2c9cfe55866f5870318fce504611261719.jpg)
3月28日、千葉銀行が千葉興業銀行の株式19.9%取得を公表した。両行は将来的な経営統合を視野に協議を進める。この流れをけん引したのが、投資ファンド「ありあけキャピタル」だ。同社が22年に千葉興銀への投資を開始し、このタイミングで千葉銀に株式を売却した背景は何か。連載『メガバンク・地銀・ネット銀を大解剖 [最新]銀行ランキング』の本稿では、田中克典代表が問題意識を持っていた千葉興銀の課題や、1年3カ月前に千葉興銀に提示した改革案、今年3月に株式売却に至った経緯について詳述する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
投資ファンド発の地銀再編へ
ありあけ→千葉興銀への提案とは
地銀再編の機運が再び高まっている。
静岡銀行と山梨中央銀行、八十二銀行の3行は、3月27日に包括業務提携を締結。さらに翌日28日、千葉興業銀行の筆頭株主であったありあけキャピタルが、横浜銀行に並ぶメガ地銀、千葉銀行へ保有株を売却することを明らかにした。千葉銀と千葉興銀は、経営統合に向けた協議を開始する。
地銀同士の業務提携や経営統合自体は、青森銀行とみちのく銀行の合併などここ数年起こっており、決して珍しいことではない。だが今回の動きに地銀関係者が並々ならぬ関心を寄せるのは、ファンド発の地銀再編だからだ。
日本の資本市場では、アクティビスト(物言う株主)が割安な株価の企業に目を付け、活発に投資活動を行っていることは周知の事実。中でも金利が生まれたことで業績向上期待が高まっている地銀株は、注目度が高い。
先述した投資ファンド「ありあけキャピタル」も、そんなアクティビストの一つ。ゴールドマン・サックス証券で銀行セクターアナリストを務めた田中克典氏が立ち上げた、金融セクターに特化した投資ファンドだ。同社は22年中ごろから千葉興銀への投資を開始。25年1月には同行の議決権の保有割合を19.9%まで増加させ、筆頭株主になっていた。
地銀各行は、来たる6月の株主総会へ向け、アクティビストの動向に神経を尖らせる。そこで本稿では、再編の仕掛け人となったありあけキャピタルの田中代表を直撃し、投資戦略と地銀再編のトリガーを探った。
実は田中代表は、24年1月の時点で千葉興銀に株式売却の意思があることを伝えると同時に、ある改革案を提示していた。次ページではこれらの経緯について田中代表が明かした内容から、今後も起こり得るファンド発の地銀再編の行方を探る。