
2月18日、りそなホールディングス(HD)のPBRが1倍を上回った。銀行株は低PBR銘柄の代表格だが、りそなHDは24年11月14日、PBR1倍超に浮上。25年2月21日時点で、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループのPBRを超えた。連載『メガバンク・地銀・ネット銀を大解剖[最新]銀行ランキング』の本稿では、りそなHDの南昌宏社長に、PBRについての考えを直撃。根底にある経営戦略や業績、今後の地域金融機関との提携策について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
りそなHD、PBR1倍超に
直近1年で0.31ポイント上昇
銀行株のPBR(株価純資産倍率)が低水準にあると指摘されて久しい。
1年前の2024年2月21日時点で、解散価値であるPBR1倍を上回る銀行は、住信SBIネット銀行、楽天銀行、セブン銀行の3社のみ。全てネット銀行だ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)や三井住友フィナンシャルグループ(FG)、みずほフィナンシャルグループ(FG)の3メガバンクも、当時はPBR1倍を下回っていた。
その後、24年3月のマイナス金利解除など金利のある世界への期待も高まり、銀行株は急上昇。ネット銀行以外でも、PBR1倍を上回る上場銀行が出てきた。
25年2月21日時点で、銀行業のPBRが高い順に並べたものが下表だ。ネット銀行以外でPBRが1倍を上回るのは、三菱UFJ FG、りそなHD、みずほFGである。りそなHDは24年11月14日、PBR1倍超に浮上。その後1倍を切ったが、25年2月18日に再び1倍の大台を超えた。直近1年でPBRを0.31ポイント改善させ、3メガに肩を並べているのだ。
りそなHDが飛躍している背景の一つには、3メガと比べて貸出先の国内比率が高く、国内金利上昇の恩恵を受けやすいことが挙げられる。ゴールドマン・サックス証券の試算では、短期プライムレートの引き上げが純利益に与える影響は、3メガ、大手行、大手地方銀行の中で、りそなHDが最も高いことが示されている(『上場地銀「24年度1Q最終損益増益額」ランキング【全73行】トップは北陸の第二地銀、追加利上げによる大手地銀の純利益への影響は?』を参照)。
では、りそなHDはPBR1倍超の要因をどう捉えているのか。同社の南昌宏社長は、金利感応度や金利上昇分だけが国内預貸金利益の増加に寄与したわけではなく、他の要因もあったという。次ページではさらに詳しい要因と共に、金融デジタルプラットフォームを活用した地域金融機関との提携策についても聞いた。
――23年の統合報告書では、当時0.6倍程度だったPBRについて「PBRが1倍を大きく下回る現在の状況については、真摯に受け止めるとともに、私自身、忸怩(じくじ)たる思いもあります」というメッセージを出していました。PBRが1倍を超えた今、どのように考えていますか。