地域の民度を上げるために
まずは各自が「50センチ革命」を
地域住民にもある程度のボランティア精神が必要なのかもしれない。いきなり100点を目指す必要はなくて、例えばゴミ集積所が汚れていたら掃除するような配慮が少しあればいい。別にインセンティブやご褒美なんてなくても、1人ひとりが身の回りの一歩に気配りする「50センチ革命」を起こせたら、みんなが幸せで居心地のいいコミュニティーになるはずだ。そういう仕掛けをつくれないものかといつも考えている。

古見彰里 著
行政が地域の民度を押し上げるのはなかなか難しいし、できたとしても相当長い年月がかかる。その中で行政は何をするのかが大切である。多くの自治体では空き家を活用して移住促進をしているが、もしかすると外から流入してきた人たちが既存住民と交流することでコミュニティーが復活し、結果的に民度が上がるのかもしれない。コミュニティーをどうつくっていくかも、行政の大切な役割・課題になっていくと思っている。
民間企業やNPO法人、起業家、スタートアップは、自治体の業務サポートや住民サービスの向上につながるような事業基盤や技術を有している。また、大企業においては社会貢献やSDGsへの取り組みが企業価値・評価の指標の1つとなっている。一方、昨今の若い年代の人たちは社会問題に関心を持ち、地方創生支援に何らかの形で参加したいという人が一定数いる。いずれも自治体にとって頼もしい存在になりつつある。
同時に、地方自治に従事する人たちは社会や関係性、地域の民度などの変容を悲観するのではなく、自分たちの業務や存在、有り様、価値をいい方向に変えられるチャンスだと前向きに捉えてほしい。プロジェクトマネジャーを担うのは行政であり、「行動すべきは自分たちだ」とあらためて意識してほしい。近い将来、20代~30代の若手職員が地方行政改革や社会問題解決の中心人物になっていくのだから。