議論はダメ!IT化の真骨頂は過去のデータ検索!
近年、管理組合業務のIT化が進んでいます。主に過去の資料のデータ検索と組合員間のコミュニケーションに使われていますが、この2つは分けて考えた方がよいでしょう。私のマンションでは、ZOOM会議やLINEでの議論は禁止にしています。たいてい、けんかになるからです。
皆さん、徐々に高度なことをやりたがって「Slackを導入して議論しましょう」……などと始めるわけですが、仕事でも使いこなせないのに(笑)、理事会で使いこなせるはずがないんです。
LINEについては、議論しないで業務連絡や報告に使うだけならいいと思います。議論は、実際に集まって対面で行った方が実は効率的なのです。意見があるなら、直接同じ場所で会って議論しないと真意は伝わりません。あるいは、さみだれ式に意見をLINEに流すよりも、月1回の理事会に書面にまとめて提出した方が、書いているうちに頭が冷静になるし、よほど建設的だと思います。
実は、管理組合業務のIT化で最も大事なことは、過去の記録のデータ検索です。私たちの管理組合では、過去200回の議事録の数千ページを全文検索できるようにデジタル化しています。10年前に同じ問題を検討した時の経緯を瞬時に閲覧できることには大きな意味があります。また、組合員間でファイルを共有するなら、使い方のハードルが比較的低いBoxをお勧めします。
マンション管理士とはどこで出会う?報酬は?
理事会の顧問として、マンション管理士にアドバイスを受けたいときには、つてがなければインターネットで検索し、これはと思う管理士にコンタクトしてみるといいと思います。どんなに売れっ子の管理士でもたいてい初回相談は無料のはずですから、一度理事会に来てもらって、解決策が出せる人かどうか判断すればよいと思います。
管理士の報酬は決まった値段があるわけではないので、1時間1万円の方もいますし、5000円ぐらいでやってくれる方もいます。稼働時間は、戸数と関係なく管理組合1件当たりで月に10時間ぐらいが目安です。
1時間1万円なら月に10万円になりますから、100戸で割ると月1000円です。管理会社に支払っている毎月の管理費を1000円値上げするといったら大騒ぎになるわけですから、ある程度の戸数のあるマンションでないと管理士は雇えないと思います。
管理会社にも管理士資格を持っている方が大勢いますが、たとえその方がどんなに優秀であっても立場が違いますよね。お金をもらう側が支払う側のアドバイスをするというのはどう考えても利益相反ですから、やはり第三者的な立場の方を探しましょう、というのが私の考えです。

おうた・はるひこ/マンション管理士、RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)代表。診断マンション管理士(日本マンション管理士会連合会)として、管理状況の診断業務にも従事。理事会役員歴は15年以上。マンション愛にあふれる管理への思いを、Xほかで日々精力的に発信している。
※應田氏X https://x.com/haruboo0