
「安全の原点」であるこの場所で、ANAグループの一員となるにあたり皆さんにお伝えしたいのは、安全は経営の基盤であり、社会への責務である、ということです。
今、世界各地で航空機の運航の安全を問われる事象が起こっています。この状況下、私たちはより一層の安全、安心をお客様にお届けするために力を尽くすことが求められています。
堅持すべき安全は、航空機の運航にかかわる安全だけでありません。皆さんのそれぞれの職場、業務によって、食の安全、お客様からお預かりする個人情報、社員の作業安全など、多岐にわたります。
この格納庫で迎えた今日の日を、一人ひとりが責任感を持ち、ANA グループの安全を堅持していく一員となる決意の日だと肝に銘じていただきたいと思います。
ANAグループは、73年前の1952年、戦後の混乱の中で純民間企業として小さな産声を上げた日本ヘリコプター輸送株式会社から始まりました。28名の社員と2機のヘリコプターという本当に小さなスタート、ゼロからの挑戦でしたが、社員たちは知恵を出し合い、社会の為に何をすべきかを考え、農薬散布や航空写真の撮影など、小さなことから愚直に努力を重ねてきました。
数多くの困難に直面してきましたが、その都度、新たな価値を創造することで乗り越えてきたのです。自分達の手で新しい空を開拓する、そしていつかは世界に羽ばたいていくという壮大な夢を追い続けました。
創業10周年にあたり作られたANAの社歌には「世界を結ぶ 愛の橋 築くはこの手この翼 誇りと意気もて今日もゆく」とあります。まだ、国際定期便を開設する20年以上も前のことですが、我々の先達は、既にそのころから世界の空に想いを馳せており、いま私たちが掲げる「ワクワクで満たされる世界を」という経営ビジョンにつながる高邁な理想を掲げていました。