でも、真実なのです。自分を捨てること。自分に向かういっさいのエネルギーを残しておけなくなるほどなにかにのめり込んで生きること。それこそが想像をはるかに超えた人生をつくる唯一の方法なのです。

 のめり込む対象はなんだっていい。それは人に対してでも、モノに対してでも仕事でも、仕事でなくても、どんな小さなことだって構いません。僕の場合はそれがたまたま人であり、麻理恵さんでした。そして妻になる人が生み出した片づけのメソッドだったのです。

 僕は麻理恵さんと結婚し、一緒に仕事をするとなったときに自分を捨てました。それまで生きてきた人生をすべて捨てた。会社員として築いてきたキャリアも、人脈も、安定した収入もすべて。人生を丸ごと捨て、すべてをかけて彼女との人生に尽くしてきた。そう言い切れるほど全体重をかけ切ってフルベットして生きてきた30代の10年。本気で命を使うってこういうことなのかと理解した10年だったと言ってもよいかもしれません。

自分を捨てると
人生が超充実する

 だからこそおすすめしたいのです。自分を捨てる生き方を。自分に1ミリも気をかけている暇がないほどなにかに打ち込む、没頭する、夢中になる生き方を。これ実はすごく大変です。しかし、超充実します。

 もちろん良いことばかりではないのがリアル。苦労もたくさんしました。恥ずかしい思いも多かった。取り返しのつかないレベルの失敗もたくさんしました。

 けれど、いっさいの後悔をしていません。もしもう一度選べるのだとしても、この生き方をしたいなと思います。自分ひとりじゃ思いつきもしない想像を超えた人生です。

 だって、普通に考えてみてください。広島の小さな島に生まれ、18歳まで広島から出たこともほぼない僕。大学受験は失敗し、それでも行ける私立になんとか行かせてもらい、就職活動もあまりうまくいかず。拾ってもらった会社で営業として働くも、たいして結果は出なかった。そんな人間が、ひとつの出会いから劇的に人生を変えたのです。その方法は、自分を捨てたこと。

 すべてを擲ってでも必ず実現するという覚悟と決意。それがその後のすべての道を切り拓いてくれました。