前田 そこでぜひおすすめしたいのが、そんな不便さを減らそうと平成29(2017)年5月に全国の法務局で利用できるようになった、「法定相続情報証明制度」というサービスです。

 これは、戸籍関係の書類や家族関係をまとめた「法定相続情報一覧図」を法務局に提出すると、その内容を法務局の登記官が確認してくれるというものです。すると、認証された法定相続情報一覧図の写しを交付してもらえるので、これを戸籍謄本の代わりに使えます。

 法定相続情報一覧図の写しは無料で何枚でも発行してもらえるので、いろいろな手続きがすごくラクになりますよ。この仕組みができるまでは、相続する預貯金や不動産ごとに大量の書類を個別に登記所や金融機関に出す必要があったのですが、法定相続情報一覧図の写し1枚で済むようになりました。

【相続専門税理士が明かす】相続手続きが「地獄の紙集め」になる人と、すぐ終わる人の決定的な違いとは?『相続専門税理士が教える 相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より

申請方法と申請先は?

無知 それは便利そうですね! ぜひ自分が相続の手続きをするときは活用したいと思いますが、どこに行けばいいですか?

前田 法定相続情報一覧図は、自分で作成して、法務局に申請するのが基本的な流れです。法務局のホームページに法定相続情報一覧図のフォーマットがエクセル形式で用意されているので、戸籍を見ながら作成してください。不明点があれば、法務局で確認してもらえますよ。

無知 申請の窓口は、どこの法務局でもいいのですか?

前田 「被相続人の死亡時の本籍地」「被相続人の最後の住所地」「申出人の住所地」「被相続人名義の不動産の所在地」のいずれかを管轄する法務局で手続きできます。郵送でも手続きができますが、書類の確認などがあるので、窓口に行ったほうが確実です。

無知 自分の住所の近くでも手続きできるのはいいですね。いろいろな話し合いが済んだあとに、実はほかにも法定相続人がいたとなると、かなりめんどうなことになりますから、戸籍の確認はいち早くやりたいと思います。

書類の入手はメチャクチャめんどう? … 戸籍関係書類の入手が一気にラクになる方法

POINT 戸籍と相続関係を表した図(法定相続情報一覧図)を管轄する法務局に提出したあとは一覧図の「写し」を活用

※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。