「千尋くんにちゃんと言わんといかんことがあるがよ」
なぜか思わせぶりな発言をするのぶ

 賞金の為替を換金して歩いていると、ヤムおんちゃん(阿部サダヲ)がお金をかっさらい、蘭子(河合優実)とメイコ(原菜乃華)に嵩がなんでもおごってくれると言う。嵩は賞金から一部、千尋にお小遣いを渡そうと考えていたので、拒否する。

 そこに、のぶがやって来た。なぜか思わせぶりに「千尋くんに会うたらちゃんと言わんといかんことがあるがよ」などと言うものだから、嵩はやきもきしてしまう。

 漫画賞受賞を聞いて「おめでとう」とは言うものの、のぶは嵩の漫画の内容に興味を持つ様子はない。ヤムおんちゃんは面白かったとすでに見てくれているというのに。

 その漫画は、三つ編みの女の子がホップ・ステップ……しているものだった。題して「三段跳」。画面に映った新聞の評を読むと、「身近な人を題材にしているのか親近感がわく作品。同時に独創的な世界観も持っている。着眼点と表現力は評価に値する。加えて落ちも秀逸であった」などと絶賛。この秀逸とされる漫画の落ちは今後明かされるだろうか。

 漫画をのぶが見たらどう思うのか。

 冷静に状況を整理すれば、のぶをモデルにしたらしき漫画が評価されたこと、たぶんのぶを魅力的に描いたものにのぶも喜び、嵩とのぶの関係もよりよくなるはずで、嵩がそんなにもやもやすることではない。

 だが、嵩は勝手にものごとを考えすぎて複雑にしてしまう。人間ってそういうところがある。これを独り相撲と言う。

 そして日曜日。羽多子(江口のりこ)がのぶたちにパンの配達を頼む。ヤムとのぶと蘭子とメイコは配達の帰り、海(夢が浜)でかき氷を頬ばりしばし和む。ヤムが、嵩と千尋も呼んで、嵩の賞金でラムネにもありついた。

 そこで、のぶは千尋とふたりきりになって、ようやくお礼が言えた。1等になったおかげで、大切なことに気づいたと千尋に言う。嵩とお礼を言っていたときよりも、海を背景にしていい感じで。

 それを蘭子とメイコと嵩が聞いている。このシチュエーションが「ねるとん」みたい(いまは恋愛リアリティーショーへと様変わりしているが)。