毒親すぎる登美子(松嶋菜々子)に戦慄…「この人生は勝ち」だったはずが?〈二宮和也コメント付き〉【あんぱん第15回レビュー】

登美子(松嶋菜々子)VS千代子(戸田菜穂)の
キャッツファイト

 一方、柳井家の千代子(戸田菜穂)はいらいら。居候の身で勝手に優雅にお茶を点てて飲んでいることを忌々しく感じている様子。ここで行われる登美子対千代子の女の闘い(キャッツファイト的なもの)がヒリヒリする。

 昔、登美子がナイフとフォークをうまく使えなかったとき、千代子は武士の情け的に見て見ぬふり、寛とともにさりげなくフォローしていた。そのとき登美子は西洋かぶれと陰口をたたいていた。

 それが今度は、登美子がお茶に関してマウントをとろうとする。どうかと思うが、なぜか松嶋菜々子が演じていると憎めない。

 松嶋の代表作『やまとなでしこ』や、大ヒット作『ドクターX~外科医・大門未知子~』などに見られる強引だけどからっとしている女性を描くのが中園ミホは実にうまい。

 以前よりも厚かましさを隠さない登美子に、いつまでいるのかはっきり聞く。

 女がひとりで生きていくのは大変なのだと悪びれない登美子。息子も心配と付け足すと「再婚先で親心も学んできたようですね」と千代子は嫌味を返す。

 登美子の言い分は、現代的な観点で考えると、登美子をこんなふうにした現代社会に問題があるとなるだろう。でも登美子が強がっているから、登美子が悪女に見えてしまうのだ。

 周囲は登美子に反感を覚えているのに、嵩は母をまぶしそうな目で見ている。

 そんな嵩の入選漫画を見て、「すごくおもしろい」「やっぱり嵩は清さんの子ねえ」と嬉しそうに息子の頭をなでる登美子。ここで、昨日気になった、3コマめ以降が出てきた。なるほどジャンプのあと、四コマめのオチが独創的と評価されたようだ。

 そう、清さん(二宮和也)。出版社で漫画雑誌などを編集していた文化系の人物が、登美子の夫であり、嵩の父。あんぱんの美味しさを伝えてくれたのも清であった。