実際に訪れてみた&外国人から見た大阪万博

 4月中旬、筆者はちょうど大阪に出張していたため、スケジュールの空いた開催3日目(4月15日)に会場を訪れた。事前にSNS上の批判を見ていたので、多少の覚悟はしていたが、実際はまったく違っていた。チケットはスマホで購入し、入場もスムーズで、事前予約なしでも10のパビリオンを見学できた。会場には案内図や休憩所が豊富に設置され、大屋根リングのスケール、噴水ショーの演出には心から感動した。

 スタッフも不慣れながら一生懸命さが伝わってきて、非常に好感が持てた。特に中高年のスタッフが多かったことには、超高齢社会の日本だからこそ、高齢者の方々が活躍の場を持ち、社会を支えているのを実感した。全体として素晴らしく、快適で前向きな体験だった。

会場内の様子大阪万博会場にある、大リングの下はこうなっている(筆者撮影)
大リングは地図代わり、場所案内の機能も兼ねている(筆者撮影)大リングは地図代わり、場所案内の機能も兼ねている(筆者撮影)

 その後、すでに会場に行ってきた複数の在日中国人に話を聞くと、「思った以上に楽しめた」「並ばない万博は素晴らしい」と好評の声ばかり。中でも絶賛されていたのが、完全キャッシュレス、チケットや入場予約のオンライン化といったデジタル対応だった。

「日本ってまだファックス文化が残っているじゃないですか。でも今回は完全にデジタルで、本当に驚きました。日本もついにここまで来たのかとうれしくなりました」と語る中国人男性の声が象徴的だった。

 日本の「デジタル後進国」のイメージを覆すほどの仕組みが実現していたにもかかわらず、「高齢者に優しくない」などの批判があり、「デジタルを進化させた」部分が十分に評価されていないという事実に、強い違和感を覚えた。

 中国人だけでなく、他の外国人観光客の評判も筆者が知る範囲では同様で、極めて良好なのである。