
太陽有限責任監査法人は2021年以降、四大監査法人が手放した上場企業の監査契約を次々と獲得し、規模を拡大。今では準大手監査法人の中で頭一つ抜ける存在になった。23年12月には行政処分を受けるなど、業界内での注目度は四大監査法人以上に高いと言っていい。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#12では、若手公認会計士の監査離れや監査クライアント増加、行政処分を受けたことなどについて、山田茂善総括代表社員(CEO)に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
監査法人の社会的責任が増大
若手の“監査離れ”は喫緊の課題
――上場企業の監査証明業務は規制が厳しくなり、報酬単価も上がらない状況です。今の状況をどう捉えていますか。
指摘の通りで、ルールは年々厳しくなっています。同時に、社会的責任も大きくなっていると感じています。経済社会の、われわれ含めた監査法人業界に対する責任も、以前とは比べものにならないほど大きくなっていると感じています。
――公認会計士の不足も、準大手以下の監査法人にとってここ数年の課題でした。
監査証明業務においては、今でも公認会計士が不足気味だという課題があります。そもそも、公認会計士試験に合格すると、ほとんどはまず四大監査法人へ就職しようとします。従って、どうしても準大手以下の監査法人は、四大の採用数によってどれだけ人材を確保できるかが変わってきます。今でこそ、最初から準大手監査法人へ就職を考えてくれる新卒が増えてきましたが、まだ採用候補の絶対数が少ない状況です。
――監査法人で働く公認会計士の年収は、四大といえども大手金融機関やコンサルティング会社、総合商社などと比較して優位性が低下している状況です。公認会計士を確保したい監査法人にとって、逆風ではないでしょうか。
確かにそうですが、給料だけが採用力を決めるわけではありません。それよりも、公認会計士が監査証明業務から離れていく課題を何とかしなければなりません。
監査離れの解決策として、監査法人の経営陣は「監査の魅力や面白みを伝えるべきだ」と口をそろえる。一体、魅力や面白みとはどのようなものなのか。監査クライアント増加の背景や2023年12月に受けた行政処分の影響、業界再編の可能性なども含め、監査法人と公認会計士業界が抱える課題について、次ページでさらに詳しく聞いた。