現社長の山浦芳樹氏が代表取締役に就任したのは2006年9月。これに前後して、本店所在地を広島市内で数回にわたり移転し、2014年12月以降は現所の本社ビルを実質本店として事業を展開してきた。

 山浦芳樹氏が代表となって以降、それまでの画一的な運営体制の改革に取り組み、提供先である企業や学校ごとに価格やメニュー構成を変更。顧客ニーズに対応することで、高校や大学、合同庁舎、県庁、税務署、研修所など、幅広く契約先を確保してきた。また、民間企業への食堂の新規開設や内外装のリニューアルなどの提案を行ってさらに業容を拡大し、広島や中四国地方などへ営業所を順次開設するとともに、アルバイト・パートを中心とした従業員も増やしていった。

 こうして積み重ねてきた実績を生かし、近年は西日本以外での受注獲得にも注力。関西、東海から関東、東北、北海道にまでエリアを拡大させていた。なお、ホーユーのホームページ(現在は閉鎖)によると、北は岩手から南は鹿児島まで22営業所を構えていた。

 全国各地へ事業エリアを積極的に広げるなか、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて経営環境が一変。コロナ禍当初は、受託先である学校関連の施設などが休校となり、食堂運営も休止せざるを得なくなった。官公庁や民間企業も感染防止策に伴う出社人数の制限などにより食堂の利用者数が大幅に落ち込み、業況は急速に悪化した。

 その後もコロナ禍が長期化するなか、学校や企業においてオンライン授業や在宅勤務が幅広く導入されたことで、利益を確保できるだけの利用者数の回復は思惑通りに進まず、食堂の売り上げは低調な推移を余儀なくされた。

夏休み明けに
各地で混乱

 2023年9月1日、一部の受託先において「契約業者による食事提供ができない状態となっている」との情報が寄せられた。まさに夏休みが明けて、多くの学校で新学期を迎えたタイミングでの事態に、関係者らが慌てふためいた。ホーユー本社に休業や事業停止を知らせる貼り紙などはいっさいなく閉鎖されたままで、電話もつながらず、当初は営業実態がはっきりしなかった。