そもそもこの軽自動車というのは日本独自のガラパゴス規格です。ボディサイズは全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、エンジンの排気量は660cc以下と決められていて、定員は最大で4名です。
この規格に該当する外国車はほぼありません。外国車で小型車というとBMWの「ミニクーパー」をイメージする人も多いかもしれませんが、「ミニクーパー」は全長3.865m、全幅1.755mですから、軽自動車よりもずいぶん大きいのです。
軽に近いサイズの外国車ではメルセデスの2人乗りの「スマート」(生産終了)がありましたが、全幅1.5mとぎりぎりで軽には当てはまりません。私が以前所有していたクラッシックの「ローバーミニ」は全長3.075m、全幅1.440mとサイズは軽のカテゴリーに該当しますが、エンジンが1リットルと大きすぎます。
中国には現役で軽に近いコンセプトの売れ筋EVがあります。先ほど上海市場で3位に入っていると紹介した五菱の「宏光ミニEV」です。車としてのコンセプトはまさに軽自動車で、一番安いグレードの価格は2万8800元(約60万円)、エアコンが装備される上級グレードでも3万8800元(約80万円)という日本人から見れば驚きの安さです。
この60万円の宏光ミニEVがもし日本市場に入ってきたら?と発売前に警戒されていたのですが、実際に発売されてみると全幅が1.493mとわずかに日本の軽規格に入らないことが判明しました。要するに最初から日本市場は狙っていなかったのです。
コスパも走行距離も桁違い…
BYD「軽EV」の性能を“低め”に推定
そこで今回のBYDです。日本の軽自動車の規格に合わせた独自車体をすでに設計済で、2026年後半に日本市場に投入するというのです。いったいどのような形態で、BYDの黒船は日本に上陸するのでしょうか。
これを迎え撃つ日本車でも軽のEVは売れています。それが日産のサクラです。2024年度の国内販売台数は2万台を超え、国内EV販売台数では3年連続の首位を走っています。税込販売価格は約260万円で満充電での走行距離は180kmです。