新規プロダクト事業と
イノベーションが進む組織設計

 新規プロダクト事業をイノベーションと捉えるならば、そのイノベーションの種類に応じた組織設計が求められます。どのようなイノベーションを起こすべきかを意識し、それに適した組織のかたちを構築することが、新規事業の成功につながります。

『イノベーションのジレンマ』で有名なハーバード・ビジネススクールのクリステンセン教授は、イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」があると指摘しました。持続的イノベーションは、既存の製品やサービスを改良し、性能向上を図るもの。破壊的イノベーションは、新しいアイデアや技術を取り入れ、従来の市場やビジネスモデルを根本から変えるものです。

 破壊的イノベーションの実現には、組織やプロセスそのものの変革が必要です。単に出島か、本業への統合か、オープンイノベーションを採用するかという選択ではなく、最終的には本体そのものを変える意識で進める必要があります。

 実現のためには、担当者が「やらされ仕事」として取り組むのではなく、自分ごととして挑戦する姿勢も不可欠です。新しい価値を生み出すプロセスは、最後は人のモチベーションに依存します。そのモチベーションに火をつける組織設計が求められ、経営者や責任者自身が強い意志を持ち、それを示し続けることが何より重要です。

 組織の一部として変革を進めるのではなく、組織全体のあり方を変え、新しい事業の成功を企業の未来につなげる視点を持つことが、新プロダクト事業を成長させる鍵となります。

 次回はプロダクト事業の成長モデルについて解説します。プロダクトは作って終わりではなく、作った後に育てていくことが重要です。その育て方ともいえる成長モデルについて説明します。

(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)