安全に資産を貯めるために
暦年贈与を検討しよう
名義預金に認定されると厄介なへそくりだが、家族の将来に備えて貯めているという人も多いだろう。では、へそくり以外の方法で貯蓄していく方法はあるのだろうか。家族に内緒でお金を貯めたい人は多いかもしれないが、やはり安全な方法は「贈与」である。
夫のお金を相続税も見据えて安全に貯蓄していきたい場合、暦年贈与の方法を使うことがおすすめだ。暦年贈与なら年間110万円までの贈与は非課税である。ただし、現金や預貯金の贈与とは別に、高価な宝石やバッグなどを夫から妻へプレゼントしている場合、110万円の枠を超えてしまう可能性がある。
夫婦間のお金の動きは生活を共にしているため、贈与の対象にはならないことが多い。例として、子供の教育費や住居維持費などの資金を夫から妻へ移動させたり、夫婦の貯金を生活費のために1つの口座でプールしたりすることは、基本的に贈与にはあたらない。ただし、結婚記念日や誕生日などに贈る高価なプレゼントは贈与とみなされる可能性があるため注意してほしい。110万円を超えた年は、適切に贈与税を支払えばよい。
暦年贈与は相続税対策としても有効だ。生前から財産を移していくことで、将来の相続財産を減らす効果もあり、子や孫への贈与ももちろん可能だ。ただし、2024年以降は生前贈与の持ち戻し期間が相続開始の3年前から段階的に7年前へと変更されているため、以前より相続税対策の効果が薄れている点に注意してほしい。
へそくりは危険!
適切な贈与・相続税申告を行おう
贈与とは、贈与者(与える人)と受贈者(受け取る人)が合意して発生する契約であるため、贈与を進める際には毎年暦年贈与の契約書を作成しておくことが望ましい。そして、名義預金とみなされないように、贈与後にお金を管理する際には受贈者が印鑑と通帳を管理し、自由に引き出せるようにしておくことも重要である。契約書の作成に不明点があったら税理士へ相談することがおすすめだ。
すでに相続を迎え、へそくりが税務署から追及される可能性がある人は、へそくりを相続財産に加えて相続税申告を行うことで、お尋ねが届いたり税務調査を受けたりする可能性は低くなる。
妻の場合、亡夫の相続税を申告する際には配偶者控除(配偶者の税額の軽減)が用意されており、法定相続分もしくは1億6000万円のいずれか多い方まで課税されない。配偶者控除の適用を受けるためには相続税申告が必要のため、こちらも税理士へ相談してほしい。