勉強・仕事は競争ではないと知り
妬まずに生きる第一歩を踏み出す

 勉強を競争だと思っている子どもは勉強しますが、勝つためではなく、「追いつくまで」頑張るのです。勉強を競争だと見ている大人はそんなことでは駄目だ、勝たなくてはいけないといいたくなるかもしれませんが、そもそも勉強は競争ではありません。他の子どもに勝てないと思った子どもは勉強しなくなるということです。

「勉強で競争する子」に親が本当に教えるべき競うよりも大切なこと『妬まずに生きる』(岸見一郎、祥伝社)

「逆戻りして失望し、自己欺瞞に陥ってしまう」のは、勝てないと思った子どもは勉強しようとしなくなるということです。いい成績を取りたいのであれば、頑張るしかありませんが、少なくとも、一生懸命勉強しないで、後になってもっと頑張っていたらいい成績を取れただろうといいます。勉強は競争ではありませんが、勝てないのなら勉強しないのは間違いだといっているのです。

 勉強はただ自分のためだけにするものではありません。ただ知識を身につけ入学試験に合格するために勉強するのでもありません。働くようになってからも同じです。一言でいえば、他者に貢献するために勉強するということを知っている子どもは、競争するために勉強をしません。

 勉強に努力は必要で、時に苦しいことはありますが、他者に貢献するために勉強するということを知っていれば、努力を止めることはないでしょう。教師も親も、子どもたちを競争ではなく、協力するようにしなければなりません。そういうことを教えられずに大人になった人は、今からでも仕事が競争ではないことを知らなければなりません。