行動のかたまりを作るのは、帯状回や補足運動野という領域です。帯状回は、情報処理や学習、記憶の機能を、補足運動野は、行動の順番を決めたり計画を立てる機能を担っています。
もし、封筒を開封した後、机にハサミを置いたままにしたらどうなるでしょう? この場合、開封してハサミを机に置くところまでが一連のかたまりとして保存されます。
そのため、机に置いたハサミを持ち、引き出しにしまう作業をするには、1つ余計に容量が使用されます。洋服を脱いだまま、使った物を置いたまま、と行動が途中で止まれば、あっという間に容量制限になりやる気がなくなります。
私たちがやるべきことは、使った物を元に戻して、作業を完結させるだけ。これだけで、常に容量に余裕ができて、サクサク動けます。
脳の空き容量が増えれば、よりよい考えが浮かぶ
物の片付けと同様に、今、取り組んでいる作業を最後まで完結させることは、脳に良いことがたくさんあります。
作業中に、「あれをやらなきゃ」「いいこと思いついた」とアイデアが浮かびがちな人は、持ちが先走って目の前の作業が中断することが多いはずです。
そんなときこそ、目の前の作業を最後までやり切りましょう。作業を中断すると、中断した作業を覚えておかなければならず、容量が使われてしまいます。作業を完結させて忘れることで、脳の空き容量を確保しましょう。メールの途中でネット検索をする、資料を作成中にふと思い出して取引先にメールする。
これらの行動をやめてみると、疲れずに、集中力が高まります。
「せっかくアイデアが浮かんだのに今すぐやりたい」と、もどかしく感じるかもしれません。しかし、実際に作業を完結させてみると、浮かんだアイデアが的外れなことに気づいたり、より実効性の高いアイデアにブラッシュアップされるので、結果として、アイデアの精度も高まります。