アシックスの若手社員向け研修で
筆者が披露した「おやじギャグ」

 2024年からは、富永満之常務執行役員が社長兼COOに就任、さらなる進化を目指している。従来の「パフォーマンス・アスリート」のサポートから、「Lifetime Athletes in All of Us」を掲げ、誰もが一生涯、運動やスポーツにかかわり、心と身体が健康であり続けられる世界の実現へと舵を切り始めた。

 より分かりやすく言えば、「普段履き」感覚を大切にして、「普段からアクティブに動き、スポーティなスタイルを日常生活や仕事にも取り入れたい人」へと顧客を広げていく。この言わば「庶民性」と「日常性」へのこだわりこそ、アシックスならではのシン日本流の本領発揮といえよう。

 筆者は数年前から、同社の若手リーダーを対象とした「アシックスアカデミー」で、パーパス経営の研修を受け持っている。彼ら・彼女らは、「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学と、「Sound Mind, Sound Body」というブランドスローガンを、自分ごと化している。そしてその実践に向けて、創意工夫を凝らしている。このようにパーパスを本気で実践しようとする姿勢を、筆者は「エシックス経営」と呼ぶ。

 最近の研修では、「アシックスはエシックス経営の先進企業を目指そう」というおやじギャグで、エールを送らせていただいた。

【注記】
※注1:本書刊行後、アシックスは2024年12月期の営業利益も過去最高を更新した(3期連続)。
・注2:日経ビジネスオンラインの記事『アシックス、欧州主導で最高益更新へ どん底からの復活』(2023年10月3日)より引用