働き出すと同時に、「今の自分のスキルなら、市場価値はどれくらいだろう」と考える。会社内の出世には目もくれず、自分のスキルを磨くために働く。就職した企業は、ネットワークを広げ、自分を磨くためのツールのように考える傾向があります。
就職氷河期だった上司の時代と違い、今は、採用氷河期。どこの企業も優秀な若手が欲しくてしょうがない。こうした環境下にいる若者は、「やめる」と簡単に口にする。
優秀な人材ほど、「違う会社や業種で腕試しをしたい」と考えています。
こうした若手の気持ちに応えるには、「会社」ではなく「個人スキル」を中心に語ることがポイントです。「会社のために」と言うよりも、「あなたのスキルを磨くために」といった方が同じ仕事を頼んだとしても、腹落ちしやすいのです。
「この会社には、まだまだ学ぶべきスキルがある」「この分野をもう少し吸収したい」という彼らの向上心に応えていくうちに、いつのまにかその企業に定着する。そんな例をたくさん聞いています。
褒めるときは
「根拠」が大事
「パワハラと言われるのが怖くて、上滑りなことばかり言ってしまう」「こんなに甘やかしていいものか、モヤモヤする」という上司の声をよく聞きます。
意外かもしれませんが、今の若者は、実はあまり褒められて育っていません。
学校では、「知り合いに誘われてもクルマには乗るな」「隣に住んでいる人でも警戒しろ」「何かあれば自己責任だ」という教育を受けてきている。その上、パンデミックによる「ソーシャル・ディスタンス」を強いられ、人と隔絶した時期がありました。若者が接する大人は、「親」「先生」「塾の先生」くらいしかいないというのが現状です。
だから、ネットで「いいね」を押されると、うれしくなる。2017年の資料ではありますが、博報堂生活総研の調査によれば、「いいね」1回の値段は、556円。今はもっと値上がりしているのではないでしょうか。
若者は、褒められることに飢えている。と言っても、ただ単にチヤホヤされたいわけではありません。自分の価値を正当に評価してくれることに飢えているのです。