「2回目の歓迎会」が
効果的なワケ

「どれだけ優秀でもすぐ辞める人」を採用する前に見極める方法写真はイメージです Photo:PIXTA

 また、新入社員全体に対してできることもあります。

 例えば、歓迎会や懇親会。入社時の新入社員歓迎会とは別に、配属先が決まってしばらくたった頃にもう一度、懇親会や歓迎会を開くと、上司や先輩との距離が縮まるし、配属先への理解も深まります。新入社員同士の絆も生まれるでしょう。また、部署単位だけでなく新入社員全体での懇親会をやることも、情報交換や仲間意識の醸成に役立ちます。

 新入社員は仕事を覚えるというプレッシャーだけでなく、生活の環境の変化にもさらされています。親元を離れて一人暮らししている人は、私生活でも悩みを抱えているかもしれません。3カ月目では、かなり疲れている可能性もあります。

 そこで上司や先輩が気にかけて、いつもと様子が違うようなら声をかけることが大事です。先輩が後輩をサポートするブラザー・シスター制度やメンター制度を導入すれば、より相談しやすい環境が作れます。

 中小企業の場合は、社長と社員の距離が近いので、最終面接をして採用を決めた社長自身が面談の機会をつくって、声を聞くことも効果があります。ただ社長は経営に忙しく時間を確保しにくいので、私がお客さまにお薦めしているのは、「会長に新入社員の相手をしてもらう」ことです。

 例えば、創業者が息子に社長の座を譲って経営から離れ、会長を務めているという場合、1カ月に1、2回程度、新入社員を昼食や夕食に誘って近況を聞いてもらうのです。

 新入社員から見ると、会長は「偉い人だけど自分の仕事とは直接関係ない人」というポジション。だから、食事に誘われればうれしいし、会社が自分を気に掛けてくれていることが伝わります。“おじいちゃん”くらい年齢が離れているので、仕事の悩みを打ち明けやすいという側面もあるでしょう。会長がいない会社なら、会社をよく知っている役員経験者などの有力なOBでもかまいません。