うつや不登校の原因になる場合も

 うつ病などの心の病の原因も、突き詰めれば「基本的信頼感」の欠如にあったりします。人を信頼して人に任せることができないと、人に甘えたり、頼ったりすることができません。そこで自分一人ですべてを抱え込んでしまいます。苦しい状態に追い込んでしまうのは、なんと自分自身なのです。人に頼ることができれば、自分を追い込まなくて済むことも多いのではないでしょうか。

 ひきこもりや学校の行きしぶりや不登校も、その根底には親子間での基本的信頼感の薄さだったり、家庭が安全基地になっていないことが原因だったりします。と言っても、親を責めているわけではありません。その子自身の気質も多分にありますが、基本的には、お子さんが学校へ行くエネルギーが足りなくなると、不登校やひきこもりになります。

 先ほどの防衛反応を思い出してください。親に言っても助けてもらえないからと、お子さんが頑張って頑張って、家での充電が足りなくなったとき、子どもは自分を守るために動かなくなるのです。

「つい子どもをガミガミ怒ってしまう」「子育てのイライラが止まらない」……私が今まで相談を受けてきたお母さんたちは、一人残らずお子さんを愛していました。子どものことを本当に愛しているのに怒ってしまう、怒ってはいけないと思っても感情的になってやめられず、後から罪悪感を抱えてしまう。そんな人は自分の育てられた環境で基本的信頼感を築くことができていなかっただけなのです。でも、それに気づくことで、自分自身とお子さんの「心の育て直し」をして、問題解決をすることができます。

親の笑顔が子の脳のパフォーマンスを上げてミラクル合格

 怒るということは、自分の中の「怒らなきゃ」というひな型があるから怒るのです。ある中学受験生のお子さんは、まつげや眉毛を自分ですべて抜いていたそうです。これは抜毛症といって、ストレスからくる行為だとわかっています。お母さんは、中学受験のストレスだと思いたかったようですが、お母さんが私の主宰する講座を受講されてからは抜かなくなり、きれいに生えそろいました。そして、見事、第1志望の中学にも合格されました。

 怒りから解放されたお母さんから「受験でミラクル合格しました」という報告を受けることがよくありますが、当然のことなのです。

 なぜかと言うと、脳のパフォ―マンスが上がるからです。怒られることで強いストレスを感じて、脳の中にある記憶を司る海馬(かいば)の機能までも低下してしまいます。一方、親が笑顔で、家庭が安心できる環境であれば、記憶力も上がり、やる気も起きるわけですから、成績がぐんぐん上がっていくのも納得ですよね。